好奇心旺盛な小学生男子、剣人は、ある時、山からの風に導かれ、砂防ダムにたどり着く。
そこにあったのは、白く輝く、来国光という名の意思のある刀だった。
ダムから動けなくなってしまった剣人は、刀と魂を繋ぐ契約を結ぶことに。
しかし、それをきっかけに、少年は異界の巫女、剣奈となってしまう。更に、巫女には重要な役割があってーー
素直で純粋な剣人と、その剣人に様々な事を教え導いていく来国光とのやり取りは、フフフっと笑ってしまうほど微笑ましく、正義のヒーローを目指して修行を重ねる剣人を応援したくなってきます。
テンポよく、ぐんぐん読み進めていってしまう物語。
剣奈と来国光との冒険がどうなっていくのか。迫りくる「邪気」から国を救えるのか。
皆様もぜひ!
最初はライトな冒険物かと思いきや、主人公の心の動きがとても丁寧に描かれていて、読んでいるうちにどんどん引き込まれました。TS要素を単なる設定で終わらせず、キャラクターの内面の葛藤として真摯に向き合っているのが印象的。
和風ファンタジーの世界観も魅力的で、巫女舞や神道の要素が物語に深みを与えています。コメディタッチの部分とシリアスな場面のバランスが絶妙で、最後まで飽きずに読めました。
特に相棒との掛け合いが微笑ましく、キャラクター同士の関係性の変化を見守るのが楽しいです。王道の成長物語でありながら、独特の設定で新鮮味もある作品だと思います。TSや和風ファンタジーが好きな方にはぜひおすすめしたい一作。
久志本剣人という名の少年が、夏の日に偶然拾った霊刀との出会いをきっかけに、少女「剣奈」として新たな運命を歩みはじめる物語――。
読み進めるほど、現実と幻想が柔らかく溶け合い、剣奈の揺れる心がまるで自分のもののように感じられます。性別や戸籍、家族や仲間との関係、過去の小さなトラウマ。その一つひとつが繊細に紡がれ、読む者の記憶や感情を優しく震わせてくれるのです。孤独や迷い、不安も、温かな愛情に包まれながら、剣奈は一歩ずつ自分の物語を歩んでいく。登場人物たちの優しさや痛みも、物語全体にそっと色を添えます。
「自分らしさ」とは何か――その問いに悩みながらも、前を向いて進む剣奈の姿は、読者にそっと寄り添い、心に小さな勇気をくれるはずです。これから剣奈がどんな冒険を歩み、どんな答えを見つけるのか――続きを追いかけたくなる物語です。