#夢

19時38分

沖縄へ向かうフェリーに職場の人間と共に乗船。船が港を出て、スマホから沖縄の先輩と1on1面談を始める。

明るい太陽、水面に反射する光を横目に軽い雑談を交わしていると、ふと船内で謎の歓声が湧き上がる。何が起きたのか周りを伺うと、なんと船の向こう側で大量のマンタの群れが泳いでいるではないか。

珍しいものを見られたと純粋に喜んでいるが、スマホで繋いだ先輩はこともなげに「お、良いもん見れたね」と涼しい表情を浮かべている。こんな楽しい現場に遭遇できた事が嬉しくて感慨深さに浸っていると、しかし何やら大量のマンタが悪戯っぽく強烈な波を起こし始めた。迫り来る大波はちょうどサーファーが乗りこなすような代物だ。これはまずいとデッキのへりをつかんで態勢を整えると、船はなにやら波に乗って急上昇！もみくちゃになりながら、スマホから微かに「んじゃ頑張れよ」と面談を切られた音がした。大量の水が入り込み水面に叩きつけられた一同だったが、再び外を見て驚愕。今食らったのと同じ大きさの波が水平線の向こうから何陣も訪れようとしている。軽く辟易したが、しかしまぁどうにかなるかとワクワクしてしまった時点で俺の負けだろう。楽しげに泳ぐマンタの群れのイタズラに振り回された乗船客は、何度もシェイクされ続けたのだった。

照りつける太陽の日差しが落ち着いた頃、船はあらゆる電子機器をショートさせながら出発港に帰還。グロッキーな様相を呈す一同だが、どこかテーマパークからの帰り道のような充足感が漂っている。遠くで船長のアナウンスがあったようだが、脳内で処理しきれなかったので無いのと同じだ。どうせこの後の流れやら返金やらの対応についてだろう。

こんな1日があるのだなとふと外を見ると……なんと先ほどのような大波がまた襲いかかってきた！「もう良いべや」という反応が船内を包み込む中、船の外後方からライフセーバーの声が聞こえる。「へりに捕まってろよ‼️」。

俺は何故かそこでもう一度エンジンがかかり直し、「頑張ります‼️」と怒鳴り上げた。水は先ほどと同じような勢いのまま船内を持ち上げ、そして下に叩きつけた。

疲れ果てた一同は恐る恐る外を見ると、しかし彼方に見えるのは静かな水平線のみ。奴らもようやく満足したらしい。ぶっ壊れたスマホと吸えなくなった煙草をビショビショのカーゴパンツの中で確かめ、下船に向かう。後方からはライフセーバーの「お前無理だって言わなかったな」と謎の賞賛が上がっていた。

#夢