Setsunai Fiction

正直言って私はこの作品のことを思い出したくはありません。

思い出すと胸が締め付けられるからです。

そんな私が本作をレビューのために頭から再読しました。
一人でも多くの方に読んでいただきたい作品だからです。

初恋など記憶の遥か彼方にとうに消えた、汚れた大人である私の心を、この物語は締め付けるのです。

深層同期制御装置によって記憶や感情が再構成される、もうひとつの世界の物語。
これだけ見れば本作はSFです。

しかしただのSFではない。
SFの垣根を越えて切ない物語が、ここにあるのです。

静けさの中で感傷的になって眠れない夜こそ、ぜひ本作を読んでいただきたい。

切実で温かい言葉がきっと、あなたの心を包むでしょう。

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