それでもいいですか
ゆぐ
それでもいいですか
あなたの声は、
私の脳を突き刺してきます。
あなたの顔は、
私の視界を曇らせます。
そのせいでうまくあなたと話せません。
そのことを友達に話すと、
彼のこと好きなんじゃない?って言われた。
でも彼のことは好きではない。
友達としても、
人間性としても
好きだけど、
恋人としては違う気がする。
でも日に日に
彼のことを意識しだす自分がいる。
胸がぎゅっと苦しくなって、
息苦しくなる。
でも、
告白したくない。
言ったら嫌われそうで、
怖いから。
それよりも、
言えない自分が、
もっと
嫌い。
この思いが彼に伝わればいいのにな。
たぶん無理かも。
なんで、
なんで言えないの。
夜中の友人たちとのグループ電話。
彼の話になると、
緊張します。
いい意味で。
彼は優しい人。
私も気づかない小さな変化に気づいて、
そっと寄り添ってくれる。
日向で干した毛布のような人。
目も合わせられない、
会話もうまくできない、
恥ずかしがり屋の
そんな私。
そんな私でも、
彼は付き合ってくれるのだろうか。
悟られないように友達に訊いた、
彼には彼女さんいるの?
どうやらいるっぽい。
そうだよね、
私より素敵な人
いるよね。
この片思いに
幕を閉じる時なのかもしれない。
そう感じた。
私の片思いはおしまい。
そう思ってた。
彼には彼女さんはいなかったのだ。
これは神様が与えてくれた奇跡かもしれない。
また私の心臓が高鳴りだした。
あなたはいつもみんなといるときは、
明るくて、4月の太陽のように暖かい。
でも1人でいるときは、
どこか冷たくて、梅雨のように悲しそう。
なぜか彼は
些細なことに気づいてくれる。
私がメンタル病んでいる時に、
そっと話しかけてくれた。
彼の朗らかな感じに、
涙が勝手に出てくる。
赤ちゃんをそっと抱きしめるかのように、
私の心を優しく包んでくれる。
もう言っちゃおうかな。
言ったら楽になれるかな。
彼はどんな反応をするのかな。
嫌らわれるんじゃないかな。
学校の帰り。
彼を呼び出した。
呼び出したけど、
言葉が出ない。
なんて言ったらいいか迷ってるわけじゃない。
「好きです。付き合ってください」
という言葉が喉にひかかって出てこない。
言いたいのに。
なにも喋らない時間が、
何時かも続いた。
でも彼はなにも言わずに、
そっとして見守ってくれた。
言うしかないよね。
わかってるんだよ。
わかってるけど、
言えない。
心臓が、
息が、
熱が、
上がる。
待てて、
言うから。
言うね。
「────」
彼はなにも動揺することなく、
微笑んで
「いいよ」
と言ってくれた。
私はめんどくさい人間です。
すぐにメンタルやられるし、
すぐ泣きます。
それでもいいですか。
LINEは頻繁にしたいです。
電話も毎日したいです。
夜遅く、寝落ちするまでしたいです。
それでもいいですか。
目も合わせて喋れないし、
手も繋げられないけど、
恋人みたいなことはしたいです。
それでもいいですか。
急に好きっていたり、
愛してるって言うかもしれないけど、
引かなでほしいです。
それでもいいですか。
あなたに出会えて、
本当に嬉しいです。
大好きだよ。
愛してる。
─完─
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