いやあ、この発想はありませんでしたなあ 笑。
まずでだしが変わってる。このテの物語で、メリーさんが『すでにいる』ところから始まるわけですが、
メリーさんのターゲットになったはずの主人公もどうやら様子がおかしく……?
タイトルの、『新型』っていうのはどういうことなんだろう?と思っていたら。なるほど。そういうことでしたか 笑。
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こうなったら、アレですな。どんどん住民を増やして、賑やかにしましょう。
夢に現れるという「This Man」とか、
森に現れるスレンダーマンとか、
意表をついて「巨頭オ」さんとかもきちゃったりして。
賑やかで楽しそうです。
都市伝説とはルールである。そう断言しても過言ではないでしょう。
メリーさん。電話をかけ、どんどん自分に近づいてくる存在。
でも、目的は何か。辿り着いた後、結局どうすればいいのか。
本作は、そうした「都市伝説の盲点」に切り込んでいく点がとても新しかったです。
主人公はメリーさんからの電話を受ける。普通ならどんどん迫ってくるメリーさんに恐怖を覚え、最後に追いつめられて終わります。
でも、メリーさんは困っていました。「わたし、これから何をすればいいの?」と。ただ迫ってくるという使命感だけ与えられて、その先に何をすべきかが不明。そんな都市伝説の「語られざる部分」に、怪異そのものが振り回される形になります。
そして、本作はそんなメリーさんの葛藤だけでは終わりません。
後に見えてくる、もう一つの真実。
読み進めるごとに、「この世界」の思わぬ事情が見えてくるようになります。
都市伝説にまつわる「ルール」が緩み始め、怪異たちが存在意義を微妙に失って行く世界。その中で生み出される不思議な均衡が、ほのぼのとしたような空気を作り出していきます。
果たして、この物語の先では「何」が家にやってくるのか。様々な想像力を刺激されるラストまで、とっても楽しませてくれる作品でした。