第52話 もうすぐパパ?

 ◆


「つまりこのままだと、いずれ誰かが1人になることもある」

「「「――」」」


 それはみんなでの食事の後のこと。

 アドリアンが話し出したことだった。

 

 今のこの島の現状は居る人のみ。

 新しく誰かが増えることはない。

 そして皆生きているのでいつか終わりが来る。(ライに終わりが来るのか謎だが。そこは誰も触れていない。ライはライだから。みたいな感じが染みついたから)

 今後のためにといろいろ動き出したところだったが。このままでは自然消滅してしまう可能性があることをアドリアンが話していたのだった。


「確かに、今ここに子供は――チアくらいか」

「まあそうだな。このまま子供が増えなければ、爺と婆だけになる」

「そうなれば――まあ消えていくだけか」

「ああ、だからライ」

「へっ?」


 アドリアンとチボーが話していると、突然話を振られるライ。

 話は聞いていたが。今なぜ俺に?と、いう感じでライがアドリアンたちの方を見ると――。


「ライは意味不明だ」

「――いきなりなかなかなこと言われた気がする」


 その場に居たみんなが笑う。

 確かにライはおかしい。これはすでにみんなが知っていることだからだ。


「でも、その意味不明なライの子供が増えれば――」

「えっ?」


 と、まあ何を話しているかというと。

 子供を作れと言う話である。

 この中で言うとライは普通なら最高齢。ずば抜けて最高齢。しかし見た目は青年。

 そして身体が老いている様子は全くない。

 なので、ライの子供ならもしかしたらまた化け物――ではないが。

 寿命の長い子が生まれるのではないか。

 そうすれば、ゆっくりでも人口を増やすことが出来るのではないかという事である。


「いやいや」


 もちろん初めにライはそんな相手いませんが――と、いう感じだったが。

 今はこの島に女性もいる。

 そして十分子供を産むことが出来る年齢の女性も――。

 というか実はこの話。先に女性陣が言い出したこと。

 オロールが言い出したことだったりする。

 このままだと。チアが1人になってしまうのではないかという感じで話が始まったことだった。

 チアのことを一番かわいがっている。面倒を見ているのはオロールだからだ。

 そして、その話を聞いたアドリアンたちは、なら若いのに任せよう。そして化け物のライなら仲良さそうだし何とかなるんじゃないか?

 とかいうライを除く大人が勝手に話し合っていたことだったりする。

 そしてライがまさか――とか思っている裏で話が勝手に進んでおり。

 ミア、ルネにその話が伝わり。断られてもおかしくないようなものだったが――2人とも二つ返事をするのだった。


 ということで特に問題なく話が進んだ結果。ライ包囲網完成。

 気が付けばライはとまず結婚した。

 そしてその瞬間ライの能力がまた解放され、さらに化け物扱いされるのだった。

 

 でもそれもあって、スキルポイントを気にせず開拓ができるようになったので、大人たちナイスとも言えることだったりする。


 と、そんなことが起きている島の様子。

 果たして人口が増えるのかはまだ不明だが。

 着実に行動は起こしていた。

 それに意外とミアは積極的だったり。

 ルネはマイペースだが。それがちょうどいい感じになっていたりと。まあうまく回っていた。


 そうそう、ここは島。

 特に一人の男性に1人の女性――とかもちろんそんな決まりなどない。

 むしろもう自由である。

 なんでもありのライがいるのでなんでもあり。とかで通ってしまいそうな雰囲気すらあるので、細かいことは気にしないのがベストである。


 そうそう、さすがにオロールさんは年齢的に高齢となるので難しいのだが。

 アナイスさんは?と、思うかもしれない。

 ミアとルネから見ると大人の女性。

 アナイスさんも候補に挙がるのでは?と、思うだろうが。

 もちろん候補にあがっている。

 というかライ以外の男性。

 アドリアンたちが取り合っているため。ライにまで話が回らなかったりする。

 と、そちらのもめごとはどのように決着するかはまだ不明だが――。

 ちなみにアナイスさんが一番苦労していたりするのだが(おっさんズに狙われているのだから)。

 でもアナイスさんも拒絶はしていないので――多分大丈夫だろう。今は恥ずかしがっているだけとしておく。

 

 ちなみに今のところ島で最年少になるだろうチアもこれからのこともあるので、しっかりその話は知っており。

 というか。もう誰に付いていくか決めているみたいな素振りがあったりするのだが――今のところはみんなの癒しのマスコット的存在として君臨しているのだった。

 というか、チアがこの島をまとめた方が安泰が続くのではないかとみんなが実は思っていたりする。

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