第51話 大人の思い付き

 見回りを終えたアドリアンとライ。

 

 ちなみに駅となっているところの簡易的な建物やホームがあるのだが。それは大工のスキルがライによって使えるようになったアドリアンが作ったもの。

 そして駅から少し進むといくつかの建物がある。

 これもアドリアンが多く作っている。

 中には以前ライが作ったものも残っている。

 つまり今は各自に建物がある状態。

 でもライが以前作ったものもあるという事は、みんなで生活することもできる状態と。生活スタイルを選べる状態となっている。

 本当はまた島流しの人が来たら――だったのだが。

 それがないため。今はみんなが複数の家を持っている状況だったりする。

 

「おい、帰ったぞ」

 アドリアンが片手を上げつつ。食堂と書かれている建物の前に居たマルタンたちに声をかけた。

「おお、お疲れ。その様子だと、今日も何もか」

「ああ、やっぱりもう来ない考えるべきだな」

「なら前に話したように森の確認をしたら――船か」

「ああ、外を確認するのも必要だろうな。まあすぐに戻ることになるかもしれないが」

「でもアドリアンのスキルで作れたらなかなかのものが作れるだろ」

「でもどれだけ離れているかもう覚えてないだろ」

「まあな」


 今この島にいる人というのは少し前と変わっていない。

 来る人もいなければ、居なくなる人もいないからである。

 なのでまだ全体を見ると少し寂しい感じもあるが。 

 今は全員が家族のような雰囲気で明るく生活しているので、みんな集まれば自然と笑顔が溢れている。


「ライおかえり」

「ああ、ただいま」

 

 するとライにも声がかけられた。

 ライに声をかけたのはミア。

 少し前まではボロボロの服が当たり前だったこの地だが。

 今ではマルタンの裁縫も使えるようになったことで、皆おしゃれなどもできるようになっている。

 そのため今のミアは真新しいローブを着ている。

 見た目は完全に魔女であるが彼女のスキルからして魔法が使えるので似合っている。

 またアドリアンが杖も作ることが出来たらしく。自分の背丈より少し長い杖を今のミアは持ち歩いてる。

 

 そうそう、そして重要なこと。

 ライは今ミアと結婚している。というか、結婚した。


 なんでそんなことが起きているのかというと。

 それはライがスキルで、アドリアンたちのスキルも再度使えるようにして、少し経った頃のこととなる。


 ◆

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