第41話 各自の仕事場
「体が軽いぞ」
「そもそもこんなにぐっすり寝たのいつぶりだよ」
翌朝。
通路でアドリアンとチボーが話している。
「――zzz」
「マルタン起きろ。チアももう起きてるのになんでお前が一番最後まで寝ているんだよ」
アドリアンが開きっぱなしだった部屋の入口から室内へと声をかける。
「あー、起きたくないわ」
すると室内からは眠そうな声が聞こえてくる。声の主はマルタン。
「起きてるし」
「まあでも何かしないといけないことがあるわけでもないし。のんびりしていてもいいんだがな」
「ならお休み――」
「寝ている人には朝ごはん抜きだよ」
「起きます!」
久しぶりにゆっくり寝たからかみんな元気な翌日。
ちなみにご飯の準備をしているのは早くから起きているオロールさんとアナイスである。
そんなオロールさんの声によりバタバタ起きてきたマルタン。
そんなみんなの姿を見ている俺はというともう少し前から起きていた。
「ライ2人も起こしてあげて」
「あ、はい」
するとオロールさんが俺に声をかけてきた。
2人というのはまだ起きてきていないミアとルネのことである。
俺はまずミアの部屋へと向かう。
コンコンとノックをすると――。
「――」
無言だった。
どうやらミアもまだ夢の中らしい。
「ミア。朝だぞ」
「――」
声をかけても反応なし。
確かに昨日はミアにはスキルをたくさん使ってもらったので疲れがたまっていて起きれないとうこともあるだろう。
さてどうするか――と、考えていると。
バタン。
「?」
ミアの隣の部屋のドアが開いた。
「――お腹すいた」
「……腹時計は正確か」
部屋から出てきたのはルネ。まだ寝起きの感じがあるが。どうやら空腹により起きてきたのだろう。
そのまま良い香りのするオロールさんたちの方へとゆっくり歩いている。
そんなルネの姿にオロールさんやチアが笑っているが当の本人は食事大事と言わんばかりにしっかりと食事の前へと移動していった。
「――なんの音?」
寝ぼけているであろうルネを見ていると目の前のドアが開いた。
どうやら先ほどルネがドアを開けた際の音で目覚めたらしい。
そこそこ大きな音したからな。
「あ、おはよう。ミア」
「――?」
ミアの部屋の前に立っていた俺。
それはミアを起こすためだが――寝ていたミアは俺が呼び掛けていたことは覚えていない様子でドアの前の俺と目が合うと少し首をかしげて――顔を赤くした。
「ひっ!」
バタン。
そしてまたドアを閉められた。
なぜだろう。
俺が目の前にいたから?
などと思っていると。少ししてまたゆっくりドアが開いた。
「――お、おはよう。ライ」
「あ、うん。おはよう」
そして出てきたミアは少しだけ髪が整えられていた。
どうやら寝起きを見られたことが恥ずかしかったのだろうか?でも今までも――って、今はまた環境が違うか。などと思っていると。
「で、ライはなんで私の部屋の前に――」
「いや、起こしに来たけどなかなか声かけても起きてこないからどうしようかと思っていたらミアが起きてきた」
「――そ、そういうこと。びっくりした。って――いい香り」
「そうそう、朝ごはん出来てるって。オロールさんから」
それから俺はミアとともにみんなのところへと移動した。
そしてまたワイワイと朝食後。
「さて、今日はどうするか」
アドリアンが話し出した。
「まずは少しでも快適に住めるようにするべきじゃないか?」
「それか。とりあえずこの島の中心。中を知るかだな――何があるかわかってないし」
「それもありだな。一応昨日ライたちのおかげで魚は捕れることが分かったから食料は何とかしばらくなりそうだしな」
「それに森の中に他の食糧がある可能性もあるだろ」
「食事は大切」
「――ルネはぶれないな」
アドリアンたちの会話に入るルネはやはり食事ファーストのようだった。
ちなみに他の女性陣オロールさんたちもそれぞれ話している
「住むところはずっとこのまま――というのは難しいかもしれないけどね」
「なんで?」
オロールさんの言葉にチアが不思議そうに聞き返す。
どうやらチアはこの先もみんな一緒に住みたいようだ。
「今は私たちだけだけど。またそのうち他の島流しの人が増えることもあるからね。それだとまた部屋が足りなくなるし。それにライのスキルも無限に家を建てれるわけじゃないからね」
確かに。今は部屋も足りている。
しかし次いつ島流しの人が増えるかわからない。
そして俺はそんな話を聞きながらステータス表を確認する。
《1141080》
§
――スキル使用時消費スキルポイント――
☆ 砂利。1キロ。10P
☆ 石炭。1キロ。500P
☆ 線路。1メートル。1000P
☆ 客車。100000P
☆ 貨車。100000P
☆ 蒸気機関車。 1000000P
☆ 建物。1軒につき。1000000P
☆ 飲めない水。1000P
☆ 順次解放。
§
特に項目が変わっていることはない。
しいて言えばスキルポイントは着実に増えているが――。
と、自分のステータス表を見ていると。アドリアンもオロールさんの話に入ってきた。
「確かにだな。ライのスキルは無限じゃないし――ライのスキル頼みっていうのもな――」
確かにいまのところ俺は元気だ。しかし俺にもし何かあると。今アル建物などしか残せない。または俺が消えるとこの建物が消滅する可能性もある――まあそれはないと思うが。でも俺が居なければ建物などを簡単に建てれることはできない。
とか俺も話を聞きながら考えていると――。
「そういや、アドリアンは大工のスキルだろ?それさ。悠宇に道具込みで工房作ってもらったらどうなんだ?」
チボーがふとそんなことを言った。
「確かに。ライのスキルで道具も作れたら――スキルが使えるのか?」
「それだと俺の裁縫も」
「なら私は厨房。そうね。食堂があれば――」
そしてチボーの話の後からアドリアンはじめ。マルタン。オロールさんまでそんなことを言い俺の方を見てきた。
なお。建物を建てるのはスキルポイントをそこそこ使うのだが――と、思ったが。でもみんなの言う通り俺が作ればみんなもスキルを使えるようになる可能性はある。
「えっと――試してみますか。とりあえずアドリアンさんから」
ということで、大工のスキルを持っているアドリアンもスキルが使えるようになれば――と、いうことで俺はみんなとともに外に出ると。少し離れたところでスキルを使ってみる。
まあ失敗なら失敗だ。
「アドリアンさん。工房ってどんな感じにしましょうか?」
「そうだな。平屋で――そこそこ大きさは居るだろうな。そして大きな机と――そして何より道具だ。のこぎりやら金槌やらやらまあとにかく工具はたくさんあればうれしいな」
「――大雑把でもなんとなく俺の中にある工房のイメージと近かったので何とかなるかもしれません」
それから俺はみんなに見守られながらスキルを使う。
《11418080》
§
――スキル使用時消費スキルポイント――
☆ 砂利。1キロ。10P
☆ 石炭。1キロ。500P
☆ 線路。1メートル。1000P
☆ 客車。100000P
☆ 貨車。100000P
☆ 蒸気機関車。 1000000P
☆ 建物。1軒につき。1000000P
☆ 飲めない水。1000P
☆ 順次解放。
§
今のスキルポイントからして建物一つくらいならまあ失敗しても大丈夫ということで、いろいろ頭の中でイメージを始める。
大きな平屋で――工具がたくさん。あと作業がしやすいように大きな机と――入り口は大きな方がいいか。などなど思いながらスキルを使う。
「――あれ?」
しかし何も起こらなかった――でも大丈夫今までも少し待てば――。
――――。
「あれ?ライ?何も起こらなくない?」
心配そうにミアが聞いてきた。
「――さすがに欲張りすぎたかな?」
どうやらいろいろ細かなことも思ったのでスキルが発動?しなかった様子だ。何も起こらない。
「さすがにライのスキルも万能じゃないか」
「それはそれでちょっと安心だな」
「一応ライのスキルは有能だが。万能ではないと――」
「でもとりあえず各自の家――あるといいかもしれないから。ライには建物作ってもらうか」
「それいいな。そして今俺たちが使っていた部屋はもし島流しにあった新しい奴が来たらそいつの家が建つまで使ってもらう――って感じでいいかもしれないな」
しかしスキルが発動しなかったことによりなぜか俺の評価が安定したような――などと思っていると。
《10418080》
スキルポイントが減った。
減ったということは――。
ドッ――――――ス――ン……。
俺が予定していた場所に何か降ってきた――ではないが。大きな砂埃とともに何やら影が――と、思っていると。砂埃がなくなり俺たちの目の前には――そこそこ大きな工房――と思われる建物が姿を現したのだった。
「……マジか」
「やっぱライ化け物だわ」
「その意見正しい」
そして俺の評価またおかしなことになった。
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