第35話 崩壊の足音

 パキッ……。

 

 始まりは小さな音だった。

 ここはトップオーバカーネ国の山奥。 

 少し前までライが住んでいたところ。

 しかし今では無人。誰もいない。

 そしてライが住んでいた場所の近くまで気が付けば更地にしていく作業が近付いてきていた。

 山の主なき後もしばらくは山は維持されてもおかしくないくらいライは綺麗に。丁寧に山の整備を行っていた。

 しかしそれがしたからあっという間に壊されてる現実。

 それは山のバランスを一気に崩していた。

 そしてライが住んでいた山の山頂に行くためには崖になってるようなところあったのだが――トップオーバカーネ国の国王が言ったからと、更地にしていっていた人たちはとにかく早く終わらせるために、どんどん進んでおり。崖は少し苦労しそうとわかると迂回する形で崖のギリギリまでは工事を行った後。回るように山をさらに進んでいったのだが――それがいけなかった。


 ――――ゴロッ。


 今の山の状況を言えば上部はまだライの整備のおかげで自然が維持されていた。

 しかし山の下があっという間に更地になってしまった。

 そして崖があったことで、山を回るように山頂。ライが住んでいたあたりを目指そうとしたことにより。はじめこそ何も起こらなかったが。

 木々が抜かれていく。倒されていくと土地が弱まっていった。

 しかし山頂部分はそのままつまり山の足元となる場所の土地が緩んできたのだ。

 そしてそこにここ最近本来なら恵みの雨になるだずだったしばらく天気の悪い日が続いた。

 山頂部部分は雨が降ったくらいでは何も起こらない。

 ライの活動により川もあふれることはなく。

 木々も弱ることはなかった。

 しかし下流は違った。

 更地にするにあたり。川も埋め立てられたり。一時的に流れが変わったりしていた。

 そしてそれは自然とダムのようなものを作り。

 おまけに倒したままだった木々もまだ多くあったのだが。それをも水が飲みこんでいき――。


 ――――ジュワッ……。


 本来なら木の根などである程度の雨でも問題なかった。しかし木の根がないと土が弱かった。

 そして水分をたくさん含むとさらに弱くなり――気が付けばダムになっていたところから水があふれだす。

 でも、まだそれだけならよかった。

 少し多めの水が下流へと流れるだけだからだ。

 しかしこの時は違った。ダムになっていたところには倒された木々も含まれていた。

 さらにそれと同じくして足元の緩んだ崖のところが限界を迎えた。


 バキバキ……バキッ……。


 ライが居ればこの山の悲鳴が聞こえただろう。

 しかしこの時いたのは国王の命で動いていた者たちだけ。 

 そんな山のことを知らない者たちだけでは異変など全く気が付くことができなかった。

 

 そしてすでに手遅れの事態となっていた。 


 ゴロン――バキバキバキバキ――ドザァァァァ……。


 崖から上。 山の山頂部分が足元が弱くなったためか。一気に崩れたのだ。

 トップオーバカーネ国で最大級の山で山体崩壊が発生した。

 山の大部分。

 ライが生活していた場所も崩れる。

 そして洞窟もすべて押しつぶされていったのだった。


 ドザァァァァ……。


 この崩壊はどのようなスキル持ちでも止めることはできない規模だった。

 というか、山に近くに居たものは何が起こったのかわからないまま土砂に飲み込まれたのだった。

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