第27話 スキルも完璧ではない。

 ふとしたことで、ミアに俺の本当の年齢などがバレた――でも信じているのか謎――と、いうか、もう驚きすぎるからあとでいい。となってからすぐ。


『そうそう、あれって、飲めないだけで、身体拭いたり顔洗ったりはできるの?』

 ミアがそんなことを言ってきたので、俺はスキルを使い俺は水を出すことにした。

 今回は近くに流れ着いていた木製のお皿?ボウル?みたいなものがあったので、一度目のスキルで砂などを取り。

 もう一度スキルを使いボウルの中に水を貯めた。

 なお水の量は調節ができないので、普通にボウルからあふれたが――まあそれは仕方ない。

 ぱっと見はさすがに流れ着いていたボウルに水を貯めたので、少し小さなゴミが見えなくもないが。それは水ではなくボウルからだろう。

 でも汚い水ではない。

 ちゃんとボウルの底も見えている。

 においも――特にない。

「どれどれ――って、冷たいな」

 触ってみると。水だ。

 山水ほどではないが冷たい水。

「ほんとだ」

 俺の横からミアも水に触れる。

 ということで、スキルで水を出した人以外もちゃんと見えているし触れる。

「これは――まあ見た目は綺麗だな」

「うん。あと――触った。濡れた感じは完全に水だよね。うんうん」

 濡れた手のひらを見つつミアが頷く。

 どうやら本当に水?なのか疑っていた様子だ。

 でも手に取ったところ水と確認できたらしい。

「ああ。綺麗なのに――飲めないのか」

「きれいだけど――そのあたり泥水と同じなのかな?または――海の水に近い?」

「どうだろうな。でも飲めない水だから――まあ試すのもだよな」

 本当はちょっと飲んでみれば、もしかしたらしょっぱいかもしれないし。めっちゃまずいのかもしれない。

 でもそれを試すのは今のこの孤島ではなかなかリスキーなこと。

「うん。お腹壊したら――だからね」

「だよな。チアに悪いから。とりあえず顔を洗ってみる――と」

 ということで、口に含むのはやめ。 

 ボウルにたまった水で手を洗ってみる。

 特に問題はない。

 そもそもすでに触っていたので、洗うくらいなら問題ないのはわかっているがなんでも初というのは慎重になるべきだろう。

 俺も山奥の生活で初めて見る者は何年生きていてもあった。

 似たような植物――と、思うと突然変異ではないと思うが。

 新しくできた別で毒が――と言うこともなくはないからだ。

 手で確認した後そのまま顔を洗ってみる(ミアが横で一応心配そうには見ている)と――普通に気持ちよかった。

 というか、よくよく考えると。島流しにあう前。 移動中からまともに顔なんて洗えていなかったのでめっちゃ気持ちいい。

 船の中では波をかぶって――とかがあったが。普通の水で。それも適度に冷たい水で洗うと気持ちよかった。

「問題なしかな。ってか気持ちいわ」

 俺が何度もじゃぶじゃぶしていると。ミアが割り込んでくる。

「なら私もちょっと水出して」

「わかった」

 それから俺が新たに水を出すとミアも少し砂などで汚れていた手足。顔を洗っていた。

「――気持ちいいーー」

 そして泣いていた。

 いや、顔が濡れているからそのように見える――かもしれないが。

 本当にうれしそうにしていた。

 そしてじゃぶじゃぶ洗う洗う。

 夢中でミアが顔などを洗っていたので、俺はそのままにしておくことにした。

 一度水を新しくしてから立ち上がる。 

 ミアが気持ちよさそうに顔などを洗っているのを横目に、その間に俺は線路の方を見た。

 今は先ほど乗ってきた機関車と貨車客車が止まってる。

 ちなみに連結は一度外してある。

 この後また出かける際に必要車両だけ持っていくことにしたからだ。

 全部ぞろぞろ繋いでいくと。先ほどみたいに最後尾のミアたちとは話せないからな。

 もし何かあった時に話せないのはなかなか痛いからだ。

 走行音もそこそこあるので離れれば離れるほど声は聞こえない。聞き取れなくなる。

 もし危険などがあって気が付かないと――なので、移動中はなるべく目の届く範囲にいるのが無難だろうと考えたからだ。


「そういえばこの線路のスキル。多少のカーブとかは普通にできたが分岐とかできるのか?」

 線路を見ていてふと思った俺。

 蒸気機関車が走る同じ線路に貨車や客車を置きっぱなしだと邪魔になりそうな気がしたので。

 少し試しをしてみる。

 まずは先ほど作った線路の近くに線路を作る。

 まあこれができないと何も始まらないが――でもそういえば線路を作り出した時2回目以降はすでにある線路に繋がる――とか出ていたような……と、思い出しつつもしてみると。

 線路をつくるのはどうしてもすでにある線路の場所になるらしく。新規では作れなかった。

 やはり基本は一度作り出した線路につなげるのがこのスキルの決まり――らしい。なかなか難しい。

 つまりは脇道というのか。側線を作ること。メインの線路から別へ分けるということはできないらしい。

 なお、小屋の近くで終わっているところなら――。

 ジャラジャラ……。 

 ドン――ドン――ドン――ドン――ドン。

 ドドン……ドドン。

 カンカンカン……。

 線路を作られる。

 少しだけ線路がのびる。 

 線路を作るとまたにぎやかになったからかアドリアンたちも気が付きこちらが何をしてるのか見ている様子だったがそのまま俺は続けた。

 そして、再度となるが。すでにある線路から何とか分けることはできないのか?などと思いつつ。現在ある線路の途中から側線を作ろうとやってみるが――。

「無理か」

 線路が作らることはなかった。

 どうやら俺のスキル。複雑なことはできないらしい。

「ということは――今ある線路しか繋げないのか――あ、でも島を一周してスタート地点につなげたら……もしかして新しい線路が作れる?」

 線路を見つつつぶやく俺。

 そうだ。今初めての線路が途中である。

 小屋の近くからはじまり。先ほど海藻などを取っていた場所で途切れている。

 ならこの線路を完成させれば新しい線路が作れるのではないか。

 分岐が作れなくとも路線――と言うのか。沿岸部を回る。というのと山の中に入るパターンがあればぐるっと島を回る路線と。島の真ん中を突き抜けるショートカットみたいな路線があれば(このショートカットの方は別に先と先を繋げなくとも沿岸部を回っている路線の近くで終わらせれば。3本目の路線は2本目が完成していないとみなされると作れないが。それでも島の中なら2路線くらいあれば行き来は楽になるだろう。島の裏側から森の中を一気に突き抜ければ最短距離での移動になるだろうし。

 と、いろいろ思いついた俺。

 食事の後に試してみることにした。

「ライ。ありがと。すっきりした」

 俺がそんなことを考えていると身体を洗い終えたのか。かなりすっきりした表情になったミアがやってくるのだった。

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