第26話 謎は多い。

 線路を作り。

 そして食材を小屋まで運んできたところ。

 俺は料理の担当がなかったので、腰を掛けつつのんびりしている俺。

  

 調理はオロールとアナイスが行い。チアが見守ってる。

 その間男性陣は休んだり雑談したりして羽を伸ばしている。

 アドリアンたちの様子からしてこの流れはこの島では普通のことらしい。

 役割分担ができているみたいな感じだった。

 なお、俺からすると、山奥では全部一人でしていたので、誰かに何かをしてもらう。ただ待っているだけということがここ数百年なかったため。なんか変な感じがしていたが。

 でもさすがにいろいろあったので、少しのんびりさせてもらっていた。

 のんびりしつつ俺はステータス表とにらめっこしていた。


《2739980》


 §


 ――スキル使用時消費スキルポイント――


 ☆ 砂利。1キロ。10P

 ☆ 石炭。1キロ。500P

 ☆ 線路。1メートル。1000P

 ☆ 客車。100000P

 ☆ 貨車。100000P

 ☆ 蒸気機関車。 1000000P

 ☆ 建物。1軒につき。1000000P

 ☆ 飲めない水。1000P

 ☆ 順次解放。


 §


 特に先ほどからステータス表の変更点はないと思う。

 スキルポイントも少しみんなと離れると増えないかと思ったが。多分普通に増えている。

 どうやらそこそこの距離にいる。

 または仲間の誰か姿があればよいのかもしれない。

 ほんと俺のステータスはおかしい気がする。

 これ――無限にスキルポイントが貯まっているのと同じな気がする。

 ならなぜ山奥では全く使えなかったか――だが。

 たまたまスキルポイントの獲得条件がおかしかっただけ――と、思うのが自然かもしれないが。多分だが。普通の町に居ればすぐに仲間を――とかは獲得できたと思うので。って、山奥でも一時期は他の人もいたんだがな。

 もしかすると家族認定?みたいなことをされるとダメなのかもしれないが。

 まあもうわからないので考えるのはやめておこうか。

 というか山奥に帰るのは――もうない可能性が高いし。


「ライ何してるの」

 ステータス表を見ていると、ミアが近くにやってきた。

 ちなみにミアとルネも食料探しに行ったことで今は休みとなってる。

 そして、どうやらルネが夢の世界に完全に落ちたらしく。今は小屋の中で寝ているので暇になり外にいた俺のところへとやってきたようだ。

「いや、俺のスキルはもっと使っていった方がいいのかと思ってな。ステータス表見ていたんだよ。使えばいろいろ解放される気がするし」

「ライのスキル本当に不思議だよね。私のステータス表なんて普通だよ?ってかみんなこれだよ?」

 そういいながらミアがステータス表を見せてくれた。

  

 §

 

 ミア・メナール

 女。

 年齢。18歳。

 独身。

 族種。人間族。魔法使い

 スキル。氷結魔法。


 §


 シンプルだ。

 俺の長ったらしいステータス表とは雲泥の差だ。

 これなら自己紹介など簡単だろう。

 下手したら見せたら終わりだ。

 俺なんて――って、そういえば俺のステータス表は長すぎたので、基本スキルポイントや獲得のことを見せていたような――などと思っていると。

 

「うんん!?」

 急にミアが俺のステータス表を見てうなり声?を上げた

「ちょっと、これどういうこと」

「うん?」

「いや、ライのステータス表」

「――あ」

 そして気が付いた。

 ミアがステータス表を見せてくれたので、自分のと見比べるか――と、思っていたので、自分のステータス表。主に名前が表示されているところを見ていたのだが。そういえば自己紹介の時。俺は普通に話して自己紹介(まあみんなもだが)なのでちゃんとステータス表を見せたのは今が初めてであり。

 そもそも俺のスキルがおかしいのはもう有名なことだが。

 俺の名前――は変じゃないよな?大丈夫だよな?

 でもそれ以外もおかしいことをすっかり忘れていた。


 §

 

 ラーイユ・デュマ。

 男。

 年齢。1374歳。

 独身。

 族種。幽霊族。影人。

 スキル。鉄道ジオラマ。


 §


「年齢何1374歳?うそでしょ?」

「……まあ多分な(実際にはそれだけ多分生きているが――見た目は多分若い成人男性のはず)」

「で――幽霊族って?あと影人?うんん!?UNNNNNNッ!?」

 謎な情報が多すぎたのだろう。

 ミアが謎な埋まり声まで上げだして、俺と俺のステータス表をにらめっこし続けた。

 ちなみにミアが唸っているが。周りは周りで離れたところでのんびりしているからか。ミアの唸りにはまだ気が付いていない。


「ライって――スキルもおかしいけど。あともいろいろおかしいじゃん」

 少しして、ミアは何やらあきらめたような雰囲気でつぶやいた。

「まあ――おかしいのは知ってる」

「もしかしてライのスキルでステータス表もおかしくなった?ってステータス表はいじれないはずだよね?でもそれなら――幽霊族?影人?そもそも1300歳以上?うーん。わかった。考えるの辞めたらいいか」

「――えらくすんなりやめたな」

「だって、そもそも線路とか建物が何もないところで建てれるってことは、おかしいから。だからそんなことがある時点でもうおかしい――って思ったら表示がおかしいのは当たり前かなーって」

「……そうなるのか」


 どうやら普通の人ならもっと突っ込んでいろいろ聞いてくるようなところのはずだが。もともと俺のスキルがおかしい。『鉄道ジオラマ』という謎なスキルのおかげ。そしてそのスキルをすでに見せていたことにより。ミア驚きはしたが。なぜかそれが普通のようにとらえたのだった。 

 まあ化け物扱いされた俺だからな。

「ってか、ライってまさか1300歳じゃないよね?」

「あー」

「あっ待って」

「うん?」

「これ以上驚くと疲れそうだから――そのうちでいいよ」

「そんなに驚い……たか」

「驚くでしょ。小屋、線路。貨車に客車。蒸気機関車作るわ。もうお腹いっぱいよ」

「なんか悪い」

「でも――ライが居たからこんな島流しにあっても生きている気がするから――今は詳しくは聞かないでおく。まだ死にたくないし」

 笑いながら話すミア。

 どうやらもう俺は化け物――おかしな人だけど。俺が居るから今何とかなっているし――で、納得してくれたらしい。

「まあ落ち着いたらゆっくり話すよ」

「話を聞いたら驚いて死んじゃいそうだからあまり聞きたくないかもだけど――でも気になるところが多すぎるから」

「アハハ――」

「ってか、思い出した」

 すると手をポンと合わせたミア。

「いや、ライに話しかけたのは、ライがさっき出していた水」

「あー、飲めない水?機関車の水分とかになってる」

「そうそう、あれって、飲めないだけで、身体拭いたり顔洗ったりはできるの?」

「あー、どうだろ?ちょっと試してみるか」

「うん。結構汚れたから。海水で洗うよりはなんかいいかな――って」

「まあ確かに多分水だからな。ちょっと待ってくれ」

 ミアに言われ水を出す準備を始める俺だった。

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