第21話 ものは試し――

 食料探しのために小屋の外に出た俺たち男性陣プラス。ミアとルネ。

 小屋の中に居る間に外が変わっていましたということはもちろんなく。

 砂浜が広がっており。周りはすべて海。

 少し天気が良くなったからか遠くまで見えるようになったがやはり海。

 この島以外の陸は全く見えない。

 そして天気は良くなっても風が強いのか。少し沖の方を見るとかなり白波が立っている。こりゃ脱出とか言ってもかなり難しそうな場所だ。


「本当に島なんですね」

 ミアがつぶやく。

「ああ、島だ。ちゃんとは危なくて見れていないが。ここは間違いなく島だな。それも孤島――」

「あれ?まだ島の周りは全部は歩いてないんですか?」

 アドリアンがミアのつぶやきに答えた言葉を聞き俺が聞く。

 もしかしてまだ見ていない場所が島にはあり。そこに何かあるのでは?と、思ったからだ。

「歩けなくはないが岩場も多いし。でも俺が来る前に島を見た奴が居るって聞いたが。まあそいつはもう死んだが――」

「――なるほど……」

 アドリアンの話し方からして、この様子だともっと人はいた。というか島流しにあっているようだが。多くが亡くなっているようだ。

「まあ聞いた話なら島の中心の方は森で。周りはぐるっと回っても岩場とかで対して何かあるような島ではないらしいな。まあ俺たちもそこそこ見たよな?」 

 アドリアンがマルタンとチボーに声をかける。

「まあ」

「確かに岩場が多い感じで何もないな」

「森は――多分まっすぐ歩けば島の反対側に出るだけあろうが。そこそこ暗いからな。あまり通るのは今のところおすすめできないな」

「何が出るかもわからないしな」

「ああ、武器とかあればだが。でもまあ今のところ俺たちより大きな生き物って――見たことないな」

「そーいや、居ても小さな虫。あとは――」

「まあ鳥とかだな」

「だな」

 2人の返事からもあまり期待ができる状況ではないらしい。

「これは――なかなかか」

「うん。とりあえず食べ物」

 アドリアンたちの話を聞きつつ俺がつぶやくと、みんなに聞こえるようにルネが言う。

「ルネはほんと腹ペコなんだな」

「うん」

「じゃあ早く探さないとな」

「島に居る人が増えるとなんか明るくなるな」

「まあまさかまた建物に住めるとは思わなかったが」

「ちょっとは寿命が延びたかもな」

「確かに、今日はちょっとガチで食材見つけたいな」

「なら探すしかないな」

 アドリアンの声で俺たちは砂浜を歩き出す。

 ちなみに森の方には今は近寄らない方がいいとアドリアンたちが言っていた。

 理由は――まあ先ほどもちらっと出たが。森の一部にはこの島に来てから亡くなった人が――らしく。それを何とかしないといけないらしいが今はほとんど放置でそれはミアやルネに見せるのは……らしい。

 なお、この話は俺だけが聞いたのでミア、ルネは知らない。

 2人はキョロキョロあたりを見つつ何かないか探している。

「運がいいと魚が打ち上げられているんだがな」

「今日はいないな」

「本当は海が荒れている方がいろいろ流れ着くんだがな」

「まあ海が荒れていると、島流しの人間は運ばれて来ないが」

「そういえば、アドリアンさん」

「うん?なんだライ」

「その島流しで送られてくる人ってどのくらいの間隔言うのか。期間?で来るんですか?」

「どうだ?」

 アドリアンがチボー達に聞く。

「確か――数か月単位じゃないか?」

「だな。ライたちが久しぶりってか、3人も来たしな」

「まあその前に捨てられた奴らはすでに息してなかったしな」

「……そうですか」

 どうやら不定期で島流しになって人は運ばれてくる。または何人も島流しになる人が居てもこの島までたどり着けない人の方が多そうな感じだった。

 確かに俺たちもなかなかの状況の中運ばれてきた。

 あれでもっと海が荒れたり。無理矢理移動させられていたら。俺自身も生きていたかはわからない。

 山奥でそれなりの生活をしていたはずだが。

 自然相手より。人相手の方が生きるのが大変だった。

 

 雑談をしつつ歩いて少し。

 本当に砂浜の周りは何もないな――と、思っていると。ふと俺はあることが頭に浮かんだ。

「あ、線路敷いていけばもしかして移動が楽になるかも?スキルポイントが増えるなら機関車も出せそうだし」

 現状はみんなで砂浜を歩いて食料になりそうなものを探しているが。

 よくよく考えたら今の俺はそこそこスキルポイントがある。

 そしてみんなと動いているので、自動的にポイントが貯まっているので使っても問題ない。さすがに小屋をポンポンは無理だが――砂利や線路。貨車は出せる。でも先ほど砂利を出した時のように。その場にドン。だけでは線路を敷くのに相当な労力がかかるが――まだ線路を出していない。

 もしかすると線路だけ出せば何か起こるかもしれないので、これはもしかして試してみるべきでは――などと考えていると。

「いや、ライ線路敷くってなかなかなこと言ってるからな?それより食材先に探して今日は数か月ぶりに屋根の圧ところで俺は寝たいよ」

 チボーがあきれつつ声をかけてきた。

 多分今俺が思ったことと同じ。線路を敷く労力が――とチボーも思ったのだろう。しかし俺は試してみる価値はある気がしたので――。

「無駄なら無駄で今日はすぐに辞めますが。まだ一度も使っていないスキルなので、とりあえずやってみます。線路ならスキルポイントも多くないので、えっと――さすがに砂浜の上は難しいだろうから――森になる手前くらいでいいかな?」

 俺はそう言いながら少し砂浜から土が見えている森の入り口近くへと向かう。

 ちなみにみんな興味はありだったらしく。俺の後ろに付いてきている。

 

 ステータス表を表示すると。《4372690P》というポイント数に。


 §


 ――スキル使用時消費スキルポイント――


 ☆ 砂利。1キロ。10P

 ☆ ○○。1キロ。500P

 ☆ 線路。1メートル。1000P

 ☆ 客車。100000P

 ☆ 貨車。100000P

 ☆ 蒸気機関車。 1000000P

 ☆ 建物。1軒につき。1000000P

 ☆ 順次解放。


 §


 スキルポイントで行えることも表示される。

 そういえばだが。使うところにもまだ読めないところがある。

 というか、最後に順次解放とも書かれているので、何かをするとさらに項目が増える可能性はある。

 ということは――待つより試した方がいいだろう。


「えっと砂利だと10ポイントだから――とりえず10キロ分くらい出すか」

 

 《4372590P》

 

 スキルポイントが減ると、どさっと土の上に砂の山が現れた。

 先ほどの10倍なので、約10倍くらいの砂利の山ができた。

「……砂利だけだな」

「これは――ライあれだろ。材料を出せるが。作るのは自分――ってパターンじゃないか?」

 アドリアンが声をかけてくる。

「かもしれないです。これだとそう簡単には使えないかな――とりあえず線路1メートルも出してみます――うん?」

「どうしたのライ」

 ルネが首を傾げつつ聞いてくる。

「いや、何も起こらない?」

 今俺は線路を作ろうとした――しかし何も――と、思うとステータス表に表示が出た。

《線路は砂利とセットで使用してください》

「なんだこれ?」

 ステータス表をのぞき込んでいると。ミアものぞき込んできた。

「えっと――線路は砂利とセットで使用してください?えっと、一緒に使えってことじゃない?」

「まあそういうことだろうな。えっと、線路を使う場合は砂利がセット――ってことは――」

 再度俺はスキルを使用する。

 《4371820P》

 今度は正しく減った。

 どうやら線路1メートルの場合はそれに合わせた量なのか砂利が多く使用された気がするが。

 スキルポイントが少なくなる――と、言っても着実に増えていっているので、使った分がすぐに戻っているようなものだが――。

 すると、またステータス表に表示が出た。

《スキル発動の準備ができました。場所を指定する場合は設置する場所を指定してください。指定がない場合設置可能な場所に設置します。また線路に関しては、2回目以降は1回目に設置した線路に必ず接続する形で設置されます。削除する場合は一括削除となります。その際スキルポイントは戻りません》

「えらい長い分だな」

「っかライのスキル」

「おかしいな」

「わかる。こんなにいろいろなことが出るステータス表とか見たことないぞ」

「ああ」

「ないな」

「私も」

「うん。異常」

 周りではなかなかの評価をされている俺だが。とりあえず、土の地面のところに線路を設置――と、すると、ドン。とその場に突然砂利が細長く表れた。

 量的には――先ほどできた砂利の山より多い。

 と、思っていると――ドドドドンドン!と、再度音がして――枕木が現れ。さらにすぐにドン!ドン!と、線路が2つ現れた。


「「「「「「……」」」」」」

 簡単に現状報告しようか。

 1メートルの線路が完成した。 

 以上。

 俺を含めてみんなが固まっている。

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