第16話 仲間が増えた?

 まさかの俺のスキルで小屋出てきました――から少し。

 多分スキルだけで小屋ができるというのはおかしいこと。

 というのはもちろんわかってるが――。

 そもそも砂利もだが。何もないところから砂利ができるのはおかしい。

 そして小屋に関してはどこからも木材出てきたんだよ。

 などなどいろいろ言いたいことはあるのだが――そもそもスキルが数千年使えなかった意味の分からないスキルなので、深く考えるのは早々にやめた。


 余談だが。確かミアは氷の魔法?だったか。

 とにかく魔法とかなら空気中のなんやら――で作られるらしいので、おかしなことはない。

 ルネのスキルは――ちょっと今のところはわからないが……って、俺何か忘れていないか?

 スキルのことをのんびりと考えていてよかったのだろうか……?

 あ、ダメだわ。そうそう、小屋ができました。からの3人で驚きつつ。小屋の中で話していると――外から声が聞こえてきたんだった。

 ということで、俺たちだけかと思っていたら何やら騒がしくなってきた。

 

「何々?」

「人?だよね――でも無人島に?」

 いきなり聞こえてきた声に警戒を一気に高めるミアとルネ。

 ミアに関しては何か今にも飛び出しそう――と言うべきか。放ちそうな雰囲気があるが。もしかして魔法ぶっ放そうとしている?でも今小屋の中だぞ?ミアの魔法の威力がどんなものかわからないが。

 ぶっ放されたらこの小屋が吹き飛ぶ可能性もあるので、早まらないでほしい。 ポンポンと小屋は作れるわけではないのでね。

せっかく小屋ができたのに即吹き飛ばされたら泣く――って、さすがにここで攻撃とかされてもなので、俺も一応警戒はしている。

 まあ俺が警戒したところで何ができるんだ――だが。

 最悪砂利をたくさん出したら何かできるのでは?とか思ったりしている。


「やっぱり私たち――死ぬのかな……」

 ミアが不安そうにつぶやく。

「最悪籠城はできるかもだが――声を聞く限り――人な気もするけどな」

 そうそう、外から聞こえてきた声の意味が理解できるということは同じ人――というのはわかっている。

 あれ?ということは、ここは島流しにあった人が多分連れてこられる場所。

 あの国の感じだと島流しが初めてとは思えない――。

「もしかして私たち以外の島流しにあった人??」

 俺がもしかして同じ島流しの人では?と、気が付いたのとほぼ同時にルネが隣つぶやいた。

「それはあるかもだが――とりあえず見てみないことには何ともだな。俺が見るよ」

「うん」

「わかった」


 ミアとルネをそっと後ろに回してから、俺はゆっくりと警戒しつつ自分の作った小屋のドアを開けると――小屋の前には数人の男女が立っていた。

 見た目は人だ。敵対しては――と、言うか。

 ドアを開けてすぐのこと。一気にこちらの緊張は解けていた。  

 なぜなら――。


「「「「……」」」」」


 松明を持った数人の人が顎が外れるのではないかというくらい口を開けて固まっていたからだ。

 それは言ってしまうと失礼かもしれないが。全員が全員間抜け顔。

 いや、あれは――なんというのだろうか。夢でも見ている――あ、1人が自分のほほを引っぱ叩いた。

 パシンと、痛そうな音がこちらにも聞こえてきた。

 そんな痛そうな音が響いても他の人はまた俺たちを見て。正確には小屋を見てだろうか?とにかく驚き固まっている。

 ちなみにだが、俺たちも外に集まっていた人を見て固まっている。

 固まっている理由は人が居て驚き――と言うより。俺たちの前に立っていた人々がみなあまりにも不健康そう。今にも倒れてしまうのではないかという状況だったからだ。

 どんな生活をしたらあそこまでやつれてしまうのだろうか――と、俺は思い固まっていた。

 そして俺の後ろでは――ミアとルネも少し口を覆いながら固まっているので――俺と同じ感想か。または――この島に居るのが島流しにあった人と考えると。自分の未来と思ってしまったのか。

 まあとにかくみんながみんな驚いているのが現状である。


 少し沈黙が続いていると、少しずつ落ち着いてきた俺は、目の前の人々を観察しだしていた。

 驚き立っている人の一部は手に木の棒――多分火が付いていたのだろうが。今はもう消えているものを持っているが攻撃してくる雰囲気はない。

 他の手ぶらの人も――大丈夫そうだ。

 そしてぱっと見だが大きな怪我をしている人。

 そもそもやつれたりしているがそれでも怪我をしている人は居ないようだった。

 でも全員が全員栄養失調のような状況で、服装もボロ布を巻いているような状態だ。男に関してはほぼ裸だ(あ、もしかしてミアとルネは男性を見て――固まっている説もあるか?って、もちろんそんな確認はしないが――)。

 とまあ、目の前の人々の状況から考えると――俺たちも先ほどまでは自分たちがボロボロと思っていたが。俺たちまだまだまだマシということが分かった。

 って、そんな観察していないで、こういう時はまず話会うべきだよな。

 ちょっと緊張しつつも、そのことが浮かんだ俺はとりあえず誰に――ではなく。目の前にいる人全体に向かって話しかけてみた。

 これでも一応数千年引きこもり――のような者だがそれなりに生きているので落ち着きはある方だ。

 多分大丈夫だ。


「あの、俺ラーイユ・デュマと言います。島流しで先ほどこの島に後ろの彼女たちときました。皆さんも――もしかして島流しに?俺たちより先にこの島に来た人だったり――しますか?」

 俺が話しかけると全員が一斉に戸惑った反応をするの中。前に居た人をかき分けるように痩せてはいるが。そこそこまだ身体つきの良い男性が前に出てきた(それでもガリガリヒョロヒョロに分類されそうな見た目だが――)。

「俺が答えよう。俺はアドリアンだ。いちおう今のところこの島に残っている――生きている奴をまとめている」

「あ、アドリアンさん。ありがとうございます」

「ラーイユ?だったか」

「はい。あ、ライで大丈夫です」

「わかった。ライだな。ここにいる俺たち全員島流しでこの島に来た。着た時期はみんなバラバラだが――俺が今のところ一番この島に居ると思う。と言っても数か月だがな」

「えっと――アドリアンさんたちは、この場に居る人で――全員?ですか?」

「ああ。ここに居るだけになった」

「――居るだけになった?」

 

 俺が聞き返すと全員が暗い表情になる。

 そんな中アドリアンが話を続ける。


「ああ、他にもいたが――死んだ。この島には何もなく。食料も時たま打ちあがる魚。または森の中にある実くらいの場所だ。もちろん脱出を試みた奴もいたが――多分ここは孤島だ。丸太数本じゃ脱出は無理だろうな。どうなったかは分からないやつもいるが――。まあつまりだ。体力が尽きたら死んでいく場所だ」

 なんとなく俺が予想していた通りの雰囲気らしい。

 と、俺がアドリアンの話を聞いていると、アドリアンの方がなぜか食いつき気味に話しかけてきた。


「ところでだ。なんだ言うのか。こちらからもいろいろ聞きたい。この建物はなんだ。昨日までなかったはずだが――あと、先ほどの大きな音はもしや――」

 

 アドリアンが俺の作った小屋を見る。もちろん他の人も見ている。もう驚いている人はいなくなっており。

 とにかく今は小屋を全員がガン見しているのだった。

 さてさて、信じてもらえるだろうか――と、思いつつ俺は小屋のことを話出すのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る