第15話 ちょっと離れたところ

 ドッーーズン!!!! 


 突然のけたたましい音と揺れが起こる。


「「!?」」

「きゃっ!」

「なんだ?」

「ゆ、揺れたよな?」

「バケモンが出たか?」

「なんで私がこんな目に――うぅぅ」

「ホントだよ。俺はなんもしてないのに――」


 ライたちが島流しになり。

 孤島へと到着してしばらくした頃。

 同じ島のちょっと森の中へと入ったところにある開けた場所に数人の人影があった。

 身なりはみんなボロボロ。

 髪もボサボサ、衣類は穴だらけ。泥だらけ。そして身体も傷だらけで皆やせ細っている。

 人影の中心には大きな焚火があり。その火を囲むように数人の人が座っている。いや、座っているというよりもう倒れていると言った方がいいかもしれないが。まだかろうじて――か。

 焚火の周りにいる人たちはまだ――生きている。


 少し目を森の方に向けると、そちらにも人影があるが。そちらは焚火の周りに居る人とは雰囲気が違う。

 焚火からは少し離れた場所で、焚火の周りにいる人からは直接はほとんど見えない場所になるが。そこでは地面に横たわり全く動かない人の姿がいくつもある。

 それは大きな人から小さな人まで――様々だ。

 いくつかの人――だったものには、大きな葉っぱなどがかけられていることもあったが。一部は何とか運んできただけ――と、いうような状態の人――だったものが地面に転がっている。

 

 この人だったもの――とは、もちろん生きていれば人である。

 この人たちは、彼ら彼女らはライより先に島流しの刑になった人々である。

 そしてここに横たわる人。まだ焚火の周りで生きている者もすべての人が皆濡れ衣を着せられこの島へと送られ。

 まともな食べ物など何もない状態で数週間生活して――順番に死んでいっていた。

 そして焚火の周りに居る人たちも次は自分――と、思いつつ何とかまだ生きていた。

 そんな時だった。

 地面から大きな振動と今まで聞いたことのない音が響いたのだった。


「ちょっと――誰か見てきてよ」

「木の棒しかない状況で戦えないだろが。明らかに今やばい音がしたぞ」

「ほんと――何の音?」

「ここはスキルで火が出せるチボーさんに行ってもらうの」

「待ってくれよ。火言ってもてのひらサイズだぞ?ぶっ倒れそうになってやっと木に火がつけれるレベルだぞ?無茶言うなよ」

「でも俺の材料が何もないとできない裁縫よりマシだろ」

「そうだ、裁縫で何か作れないのか?」

「だから材料が無ければ何にも作れないんだよ。何度も言わせるな」

「ねえ。もう死ぬしかないかもなんだし。死ぬときは皆一緒でいいんじゃない?みんなで見に行く――」


 女性がまずおびえつつ音の方を見てつぶやくと。自然と男性数人が言い合いをはじめさらに別の女性の1人が口を開き。結果としてその場にいた全員が彼女の意見に頷いた。

 そして火を囲むように座っていた男女は、心もとない松明をいくつか持ち。全員が身を寄せ合いながら音のした方。

 砂浜の方へと歩き出したのだった。

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