第14話 ラグもある
砂利が出たから、これはもしかしてもしかするのでは?と、思いつつ。スキルで建物を出してみようと思ったら、何も出ず。不発した俺。
マジで今のところ何も出ていない。
一瞬だけ今の状況を帰れるのでは?などなど実はいろいろ頭の中で思っていたのだが。それがさーっと白紙に戻っていっていた。
「ライ?どうしたの?」
すると俺が固まっていたからだろう。ミアが不思議そうに覗き込んできた。
「いや、スキルで建物も作れるみたいだから試してみたんだが――」
流石にここで嘘を言ってもなので、俺は正直にミスった?感じということを2人に話した。
「建物が作れるの?」
驚きの表情をするミア。
「らしい。でも何も起こらなかったよ」
「ライのスキル――」
「どうなってるの?」
ミアとルネがそれぞれ難しそうな表情をして顔を見合わせ。そしてライの方を見た。
「俺もわか――」
さすがに建物はイメージではダメか。スキルの使い方が何かあるのだろうな。それがわからないと。スキルポイントがあっても駄目だろうな。と思いつつ。ミアとルネと話していると――。
《3999990P》
「――――うん?スキルポイントが減った?いや、減っていたのか?」
現状何も起こらなかったがスキルポイントだけが減った。
減ったのはちょうど建物1つ分のスキルポイント。
つまりこれは――ミスったか――?
もしかして建物を出すのに失敗して、スキルポイントだけ消費したのでは?と、ステータス表を見ながら俺が天を仰ごうとした瞬間だった。
ドッーーズン!!!!
唐突に3人の前の激しい砂埃。
そして地面の揺れ。
そして――影ができた。
「「「……」」」
これこそ目が点。
全員目が点。
俺も目が点。
ミアも目が点。
ルネも目が点。
みんな目が点になりしばらくその場にフリーズするのだった。
何が起こったか。
簡単に言えば、俺たちの目の前に小屋が降っていた――ではないが。突然何もないところから小屋が現れた。
そして少しだけ地面から浮いて?現れてそれが地面に落ちた?のだろう。
一瞬だけそこそこ強めの風と、砂埃に襲われ地面が揺れ――目を開けると小屋があった。
今まで俺が山奥で住んでいた小屋より大きい。
そして多分だがしっかりした作りの小屋が現れた。
今まで何もなかったところにいきなりの人工物登場である。
「――マジか」
しばらくしてやっと俺は声が出せたが。まだ視線は小屋を見て固まっている。他のところ見ることはできない。
なんというのか。視線を逸らしたら消えてしまいそう――ではないが。
とにかく目の前に現れた小屋をガン見する俺だった。
「何――何?なんなのよ!!!!」
俺がつぶやくとスイッチが入ったように美亜が叫ぶ。
「急に――へっ!?家?小屋――へっ?夢?私――死んだ?空腹で死んじゃったんだ――」
ルネに関しては死んでないぞ。
生きているぞ。
などと誰か言うべきだったかもしれないが。
全員が驚いているため誰かに声をかけるということが誰もできなかった。
結局しばらくの間俺たち3人がそれぞれが小屋を見て驚き。
ルネに関しては何故か途中から頬をずっとつねっている。
さらにぶつぶつと『痛い。つまり――夢じゃない。でも小屋がいきなりとか――夢。でも痛い。つまり――これは夢じゃない。でも――ありえない。やっぱり――空腹で死んじゃった?夢――でも――痛い』何か言いながら繰り返しをしているという謎な行動を始めていた。
「ライ――」
するとやっと首を俺の方にミアが向け。俺も少し落ち着いてきてミアの方を見た。
「これ――どういうこと?」
するとルネもまるでロボットのように俺を見て話しかけてきた。
ルネ。しっかりほほを引っ張ったのか両頬ともに少し赤くなっているがそれは触れないことにした。
「いや――なんというか。いろいろわからないけど――でも多分俺のスキルで作った?うん。だろうな。スキルポイントも減ったし。にしてもまさかラグがあるとは――もしかして俺が注文増やしたから?それとも普通に消費ポイントが多いと時間がかかる?あーわからん」
「いやいや」
「材料も何もない状態から――」
「家とか無理だよ」
「おかしいよ。実は3人とも死んじゃった?」
「ルネ。ほほ叩いて」
「うん」
パシン。
「――痛い。ってか、ルネ――地味に強くたたいたよね?痛いんだけど」
「痛めの方が夢から覚めるかと」
「そうだけど――って、今はいいや、ライこれは何?」
自分から叩いてと言ったので、何も言い返せないミアは少し赤くなったほほをさすりながらまたライの方を見る。
「――だよな。俺もなんでできちゃったかわからないんだが――」
「ライ。これ室内は?」
ルネが少し興味を持ったのかドアの方を指さして俺に聞いてくる。
「わからない。外だけかもしれないけど。一応。作るときは室内も簡単に生活できるようにと言うか。家みたいな感じで――って、思い描いたんだが――まあとりあえず、見てみるか」
恐る恐る3人で建物に近付き。俺がドアを開けると――ちゃんとドアは開き。
「………おぉ、スゲー。小物も思い描いたのはちゃんとある――って、ベッドも出来てる」
室内はちゃんと部屋になっていた。
俺の思い描いたものはちゃんとあった。
というか、普通にすぐに生活できそうなくらいだった。
「すごい」
「夢――じゃないよね?」
室内へと入って小物も触れてみるがちゃんとできている。改めて室内を見回せば、先ほど頭の中で描いたものは――ちゃんとすべてあった。
またはじめは俺の後ろから室内の光景をキョロキョロとのぞいていたミアとルネだったが、までは普通に中に入り興味津々で室内を見ている。
「つまり――俺のスキルって思い描いた建物は建てれるってことか?いや、なんでだよ。鉄道ジオラマ万能――って、そうか。ミニチュア。模型にいろいろな建物があるから作れるってことか?あれ?なら……もしかして俺のスキルスキルポイントさえあれば何でもできるんじゃないか?」
まさかね。そんな都合よくは――と、思っているのも事実だが。
でも今自分が居る小屋が本当に思い描いた通りできたので、これは――使える?とも、また思う俺だった。
「ライのスキル――おかしいでしょ」
「うん。何もないところから――生み出すって、一瞬だけ出すならわかるけど――維持できるって――」
「どうなってるの?」
「ほんとどうなってるの?あとライは全く疲れた様子もないし」
そして今度はミアとルネが詰め寄ってくる。
ちなみに2人の目には『これもしかして助かるんじゃない?』と、思えるような雰囲気がにじみ出ている気がする。
「いや、俺に聞かれてもな――なんせスキル使ったのも今日が初めてだし」
「でもこれすごいよ」
「うん。あとは何が出せるの?」
「いやいやだからほんとまだ初めて使っただけだから」
さすがにここでできるかも。と言うと2人は喜ぶだろうが。 ぬか喜びになってもなので、まだわからないアピールをしつつ。
3人でいろいろと驚きながら室内を見回りつつ話していていると――。
「なんだこれ!」
「こんなところに家があるぞ」
「こんなのこの間まではなかったわよ」
「どうなってやがる――」
急に外から話し声が聞こえて来たのだった。
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