第13話 調子に乗ると……
簡単に自己紹介を終えて、それぞれのスキルに付いて話している俺たち。
そして今更――と、思われるかもしれないが。スキルポイントのことへと話を持ってくることができた。
本当はスキルポイントを獲得した時に何かしろ!かもしれないが。
数千年生きていると。数十分。1時間くらいなら誤差範囲だ。
つまりこれから話すことはスキルポイントを初めて獲得した俺――と、いう感じ。
いや、はい。余計なこと言いました。とっとと本編行きます。
「いや、俺だけ――かもなんだが。なんかスキル使うのにスキルポイントが必要で、そのスキルポイントの得かたがわからなかったんだが――さっき初めてスキルポイントが入ったみたいなの思い出してな。ってか、確認だが2人ともスキルポイントってわかる?」
スキルのことを話しつつ。スキルポイントについて2人に聞けそうな雰囲気になったので、流れで聞いてみたが――まあ予想通りの反応。
昔昔の俺の両親みたいな反応を2人はしてくれた。
「えっと――ミア。ライの言っているスキルポイントって?」
「さ、さあ?初めて聞いたと思う――ポイント?スキルの?」
「だよね?スキル使うのにスキルポイント?まあスキル使えない私が言うのもなんだけど――ミアはスキル使うときポイント?とか使わないよね?」
「うん。特に何か必要ってことは――」
スキルポイントについて俺が聞くと2人は完全に戸惑ったような感じになっていた。
「やっぱりスキルポイントって概念はないのか――って、ちょっと確認していいか?」
「ええ」
「どうぞ」
2人に許可を取ったところで俺はステータス表を表示してみた。ちなみにスキルポイントを獲得して初の自分でちゃんとステータス表を出して確認である。
先ほどは勝手に表示されて――2人が倒れていることを思い出して途中でやめたからな。
これがちゃんとした確認だ。
ミアとルネに見守られる形でステータス表を表示する俺。
確かにちゃんと《使用可能5000000P》という表示が出ていた。
数千年表示されることのなかったスキルポイントの欄。ちょっとした感動レベル――なのかもしれないが。
あまりに突然獲得したのであまり実感がない。
「これ――俺のこの鉄道ジオラマスキルが使えるってことか?」
ステータス表を見つつつぶやく俺。
ステータス表に表示されている画面を信じれば俺はスキルが使えるということである。
そして、今まで数千年0だったスキルポイントがいきなり5000000P。
これは……多いのか少ないのかはわからないが――とにかく試しに一番使用スキルポイントが少ないスキルを使ってみることにした。
ステータス表を再度表示する。
§
☆ 砂利。1キロ。10P
☆ ○○。1キロ。500P
☆ 線路。1メートル。1000P
☆ 客車。100000P
☆ 貨車。100000P
☆ 蒸気機関車。 1000000P
☆ 建物。1軒につき。1000000P
☆ 順次解放。
§
長年ステータス表には出ていたが一切使われることがなかったスキルポイントの欄。
使うことがなかったからか。久しぶりにちゃんと見た気がする。
近くにいるミアとルネも一応見ることが出来るみたいで、興味深そうにこちらを見たまま固まっている。
というか2人の表情からは『なにこれ?』『こんなの見たことなんだけど……』と、特に口に出したわけではないが。あからさまにそんなことを言っていそうな雰囲気がある。
まあ、そこにツッコミを入れるとまたすきるぽいんとの使用が遅くなっていくので、特に向こうが聞いてくることもないので、気にせず俺は自分のステータス表を再度見る。
「えっと……これはどう使うんだ?」
まずは一番使用スキルポイントの少ない砂利を選んでみることにした。
ちなみにステータス表を触ったりは出来ないため念じてみると――。
ドサン。
目の前に鈍い音がした。
そして俺の足元には先ほどまではなかった砂利がこんもりとある。
「……砂利――だな」
まあどう見ても砂利だった。
そこら辺にありそうな。転がっていそうな砂利が小さな山を作って足元に現れたのだ。
「え!?」
「今どこから――これ……砂利?」
「ライのスキル?」
突然砂利が現れたことで驚くミアとルネ。完全に目が点だ。面白いくらい目が点という言葉が似合いそうなくらい面食らったような表情をしている。
ちなみに俺も目が点かもしれないが――多分点だろう。普通に驚いたし。
なお、砂利は袋に入っているとかはなく。俺の正面の砂浜の上にドンと砂利の塊が現れただけ。運ぶなら地道に手とかで運ばなければいけないだろう。
そうそう、スキルポイントは正しく10減っていた。
もう一度言う。スキルを使ったら砂利だけ出てきたである。
細かな砂利で特に砂利に特別なことは――ない。
触ってみても普通に砂利。手で握ったら潰れて粉々になるような脆いものではなく。ちゃんとした砂利。
砂利が出たからこの後何か追加で起こるような雰囲気もない。
「――えっ?本当に砂利出すだけ?ってか――あとは○○のところは――不明ってことで念じても出ないか。ちゃんとわからないと使えないってことか……」
目の前の砂の上に明らかに目立つ砂利。それを出しただけの現状だ。
初めてスキルを使うことが出来た瞬間なのだが。あまりに地味。
そして全く自分の助けになっていないため特にスキルを使えて感動――とか言うことは一切なく。
俺はすぐに他の項目を確認していた。
「これスキル名が鉄道ジオラマ言うだけあって、後は線路とか客車だから――線路作ってからしか意味ないだろうし――順次追加も謎だし。って、唯一俺を助けてくれそうなのは建物なんだが――砂利とかと比べるとめっちゃスキルポイント使うんだよな。今はスキルポイントが増える可能性は低いから――でも現状を考えると――何もない。つまり安心できる場所を作るべきか」
「――――――ライのスキル――なんか――――うん。すごいのかな?うん。なんか」
「――だね。そもそもステータス表にこんなにいろいろ表示されているの初めて見た」
ぶつぶつつぶやく隣ではミアとルネが何してるんだろう――というか何こいつ。的な感じで俺を見守っている。ミアに関してはちょっと俺を危ないもののように見ているような……戸惑い?が声から感じられる。
というか2人からは、どうも俺変な人に今見られているかもしれないが……今はいいか。
「これ――建物って書いてあるけど何が出来るんだ?やっぱり鉄道関係?駅とか作れるのか?でもこんなところに駅なんていらないし。明らかにデカいものが作れる気がしないんだよな……」
ステータス表には『☆ 建物。1軒につき。1000000P』と表示されている。つまり今の俺のスキルポイントからすると4軒は何かを建てれるみたいだが――何を建てれるのかは不明。
追加で何か表示されるようなことは――ない。
もしこれで人が入れない小さな建物。それこそジオラマだった場合俺は泣く。とりあえず泣くだろうが……。
とまあ今まで1人で小屋に住んでいた俺。『小さな小屋が出来ればいいかー』とか思っていたので。
「1回だけ試してみるか――とりあえず――どうすればいいだ?イメージすればいいのか?小屋――まあ平屋で良いか。で、後は生活に必要そうな感じで、寝床や机とか椅子もあると便利か。まあ細かく言い出すと訳わからなくなるから。とりあえず建物1つで小屋を……って、これで小屋が出来たら俺のスキルおかしいか」
半ば冗談のように俺が頭の中に小屋の様子を思い浮かべながらつぶやいてみると――何も起こらなかった。
いや、こういう時って、砂利と同じでポン!と出た!とかなる流れじゃなかった?ならないの?マジで?いや本当に何も起こらないんだが……。
――ガチで何も起こらんぞ。
ちょっと恥ずかしいじゃん。マジで何も起こらないよ……。
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