『あなたはなぜ、書き続けているのですか?』レビュー
── 書くことは、祈りであり、たしかな灯──
レビュアー:ひまえび
この作品は、「書くこと」に心を預けながら、時に疑い、時に救われてきた一人の書き手が、自分自身に問いかけ続けるエッセイです。
読みながら、ふと息を止めてしまう瞬間がありました。
それは、あまりに率直で、痛みを含んだ言葉が、まるで自分の中の記憶に触れてくるようだったからです。
「わたしはなぜ、書くのか」
この問いはきっと、多くの物書きが人生のどこかで自分に向けたことがあるものだと思います。
海乃マリーさんは、その問いに対して、答えを急がず、飾らず、ゆっくりと向き合っていきます。
時に迷いながらも、それでも言葉を手放さずにいること。
誰かに届かなくても、まず自分自身にとっての「書くことの意味」を確かめようとする姿勢が、とても美しく、静かな勇気に満ちていました。
このエッセイは、派手なドラマもないし、大きな主張もありません。
でも、読んだあとに心に灯る火のような温かさが、しばらく消えずに残ります。
それはきっと、「書くことをやめないあなた」自身が、もう十分に物語になっているから。
どうか、無理のないペースで、これからも書きたいと思う言葉を綴っていってください。
この作品に出会えてよかったと、心から思える一篇でした。