容疑者Bar

雨山道秋

プロローグ「まえがき」

やあ、読者の諸君!今回も私の本を手にとっていただきありがとう。

今回も編集者に無理を言って電子書籍での販売中止と締め切りの延期をさせて貰ったよ。

編集者の彼には苦労をかけているから良い酒でも奢ってやらねばなぁ。


そうそう、酒といえば皆はBarには行くかい?

Barというのはいるだけで心が落ち着かせることができ、筆を進めるにも向いている最高の場所だ。

だから、私は締め切りが間に合わないと確信したときはBarに通って出来る限り編集者から逃げ…じゃなくて、締め切りに間に合うようにしているんだ。

だが、1年間ほど通っていた行きつけのBarが最近つぶれてしまってな。今回はそのせいで締め切りから大幅に遅れて締まったのだ許してくれ。


そうそうせっかくだ、この本の物語の舞台になっているからその潰れたBarについて少し語ろう。

そのBarはな、大きな刑事施設近くにある西洋風のBarだったよ。

元々客の多いBarではなかったが初めてそこに入った日はバーテンダーと二人きりだったのでな「西洋風の良いお店ですね」と一言話しかけてみたんだ。

そうしたら、そこのバーテンダーは「これは西洋由来のものではありません。これは…です。」と言ってきたのさ。

はて、あれは一体なんと言っていたか…確か何処かの国の特有の文化を表していると言っていたような気がするが…。

まあ「西」に「洋」に「風」だ。

極東の日本から見れば大体網羅しているから問題はないだろう。


少し脱線したな、で店のモチーフについて教えてもらった後にこのお店の名前についても聞いてみたんだ。

その店名がこれまた面白くてな、何でも「容疑者B」というらしい。

おかしな名前だろう?

店の前の看板にも「容疑者B」と書いてあったんだが、Barなのに名前の末尾にBだけというのもしっくりこなかったから「Bar」の「ar」が掠れて消えてしまったのかと思っていたけども「容疑者B」という名前で間違いないらしい。

(それでも「容疑者Bar」となって十分可笑しいが)

由来について気になり、「バーテンダーが昔、容疑者として疑われていた。」や「容疑者となった人物が釈放後に通い場所だから。」だの言ってもみたがどれも違うらしい。

また、そのバーテンダーがまた意地悪な奴でな、答えを聞いても教えてくれないんだ。

だが、問いに対して違うことは教えてくれるから通うたびに聞いてみたが結局潰れてしまい今でも分からないままになってしまった。


そんな謎ばかりのBarに私が通っていた時の話だがよかったら読んでみてくれたまえ。

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