かわぞこソング

「未来から、世界はやってくる」――これは、18歳で橋から身を投げ、死んだはずの少年NYの物語。彼は生前、名門中学に進むも馴染めず中退し、自室に籠り続けた。物理法則を書き換えるような科学者、世界を変えるIT企業の創業者、あるいはトップスイマーになる夢を見ては、己の無力さに打ちのめされ挫折。唯一残った音楽制作に没頭するも、誰にも評価されることはなかった。
絶望の果てに、彼は自ら命を絶った。しかし、物語はそこで終わらない。肉体は川の底に消え（遺体は未発見のまま）、彼は「死後の念力」によって「概念」のような存在として、この世界に留まり続けている。
指も喉もないはずなのに、彼は念じる力だけで音楽を創り、インターネット上にアップロードし続ける。生前は見向きもされなかった彼の楽曲は、死後、ネット上でカルト…続きを読む