バカな俺が先生を落とすためだけのラブコメ
夕日ゆうや
イケない関係
記憶が遺伝されるというなら、我々はどこまで進化していけるのだろう。
「なんだ? この文章は?」
「俺の見解です」
「あのな。数学だぞ」
「あー。関係ありますか?」
「あるだろ。お前、先生をなめているのか?」
「いえ。ふできな俺を許してください」
頭が痛いのかこめかみを抑える律子先生。
さすがに先生に会いたくてわざと書いた、なんて言えないよな……。
遺伝子レベルで好きだもの。
「で。お前の気持ちは伝えたの?」
教室に帰ってくるなり、カナが訊ねてくる。
「いいや」
「なんだ。伝えればいいのに。そしてフラれろ」
ゲラゲラと笑い立てるカナ。
こいつはなんでこうも俺をたきつけてくるのか、わからない。
だが、不愉快ではない。
きっとカナなりの考えがあるのだろう。
それを否定する気はない。
「でもな。もう少しデリカシーを持てよ、カナ」
「まあ、数学の勉強をするべきだよね」
「勉強はしているんだよなー」
「九九も覚えていないのに?」
そう、俺の数学のテストは悲惨なものになっている。
通常、小学生で学ぶべき計算を一切覚えていない。
「まあ、電卓あるし?」
「開き直るな!」
カナがドンッと背中を押す。
「さ。
「二!」
「ちっがーう!」
カナが投げ出す音を立てる。
俺、そんなにヤバいのかな?
「でんじクン。今日は補習だ」
放課後、律子先生は俺の首根っこを捕まえて席に座らせる。
まあ、悪くない時間だ。
律子先生と二人きっりなんて。
「おいおい。でんじも一緒かよ」
「なんだ。俺だけじゃないのか……」
がっかりしながらも、先生に九九を教わる。
「一一は?」
「
元気よく答えると律子先生の目にも涙が浮かぶ。
「ホント、手のかかる子ね……。どうやって高校に入れたのかしら」
言えない。
鉛筆に書いた数字を見て数学を解いたなんて。
義務教育には点数は関係なかったし。
まあ、その義務教育を受けていないのだから、数学ができないのだけど。
本当ひどいよね。
「さ。今日の補習はここまで」
ぱんっとお開きにする律子先生。
「ありがとうございました」
俺はそれだけ言うとそそくさと帰る。
先生の魅惑的なスタイルにドギマギする。
豆腐メンタルなせいか、先生と真っ直ぐに会話できない。
でも先生かー。
俺も小中と教師が律子先生だったら通えていたのかな。
こんな頭の悪い
「ただいま」
「おう。お帰り」
家に帰ると父さんが迎えてくれる。
「父さん。今日の仕事は?」
「父さんな、もっと夢のある職業に就こうと思うんだ」
「どうせ仕事で失敗したんでしょ?」
「ひどいなー」
「やっぱり遺伝かな……」
「大丈夫だ。母さんの血がある」
確かに母さんは個人事業主として弁護士をしている。
「いや、父さん似だよ。俺は」
「ははは。残念だったな」
「遺伝って、なんだろうね?」
「そりゃ、親に似るってな」
頭の悪い答えが返ってきた。
「きっとその人の人生経験がかかわってくるのだと思うけど」
「そうかそうか」
うんうんと聞き入れてくれる父さん。
悪い人ではないのだけど、頭の方が悪いからなー。
「
妹の話をふると、父さんは嬉しそうににかっと笑う。
「おう。今日も大学の勉強をしているぞ。論文読んでいる」
「さすが雫。俺にできないことを平然とやってのける」
「ははは。父さんにも理解できん」
同じ兄妹だとは思えないんだよな。
でもDNA鑑定でもハッキリ血のつながりがあると照明されているし。
「まあ、トンビがタカを生むって言うしな」
「たまに頭よさげなこと言うよね。父さん」
「そうか?」
雫が自分の部屋のある二階から降りてくる。
「そろそろ夕食にするよ」
「おう」「待っていました」
雫は勉強だけじゃなく、家事力も高い。
将来の希望の星だな。
☆★☆
ちょっと早めに行って勉強するか。
運が良ければ律子先生と会えるかも。
教室にはいる一歩手前。
律子先生が教壇に立ち、何やら呟いている。
「でんじクン、好きです」
――これは最低最悪の父さんの遺伝子を受け継いだ俺が、高校の先生とイケない関係になるまでの物語。
バカな俺が先生を落とすためだけのラブコメ 夕日ゆうや @PT03wing
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