第39話 エヴォレンジャーロボvs爆弾魔神ロボ(Ⅲ)
■■volution:06「Explosion!! 非情冷酷、爆弾魔人」(戦闘パートⅤ)■■
間合い……エヴォレンジャーロボと
「ききい……」
戦闘員っ子ちゃん達も戦いの推移を呆然と見守ることしか出来なかった。
あらゆる攻撃で、エヴォレンジャーロボの能力を上回る爆弾魔神ロボ、迂闊に手出しが出来ない。
蜃気楼のように不気味に揺らめく爆弾魔神ロボ。両機の間を乾いた砂塵が吹き抜ける。
「…………」
エヴォレンジャーロボはファイティングポーズをとったまま動けない。
「どうする? 僕は、どう戦えば……」
エヴォレッド心の中の呟き。
「レッド! 後方から巨大メカ接近!」
エヴォブルーが叫んだ。エヴォレンジャーロボの後方からボロボロの巨大ロボが歩いてくる……左手を失い、赤錆びた表面装甲は機体のシルエットすら解らないほど。残った右手、刃こぼれでボロボロになった大剣を引きずりながら、眩く輝くエヴォレンジャーロボの側を通り過ぎていく。
ボロボロの巨大ロボ、次々錆が剥がれ落ちていく。崩壊寸前。それでも歩みを止める事は無い。今俺は……目の前の敵をぶっ殺すだけ。それだけの存在。今の俺は、無敵だ。
「俺の代りはいくらでもいる、俺は誰からも必要とされていない……必要だったのは「戦闘員」としてだけ。俺自身じゃねぇ。俺は
死にゆく俺の魂の中には怒りと、絶望と、そして悲しみが刻まれている。
「己のせいだと泣いていれば良かったのか!?」
「誰かのせいだと怒れば良かったのか!?」
視界がぼやける。血がどんどんと失われていく。
「俺は唯唯命令されるままに戦い続けた戦闘員だ……戦い続け、負け続け……奪われ続ける。なりたくて戦闘員となった訳じゃない。どっかの誰かが勝手に……俺を只の「戦闘員」だと決めつけ使用し続ける、報われ事なんてねえ」
ボロボロの巨大ロボ、側には眩く輝くエヴォレンジャーロボ。
「俺は……死ぬのが怖いのか?」
エヴォピンク、仲間達との絆……出逢いに意味はあったのか?
「違うな、死ぬよりもっともっと辛いことがあるよな……だから俺は。戦う、戦える」
目の前には虚神。強敵だ。朦朧とする意識。
もう考えるのも面倒だ。次々と落下していく錆や部品と一緒に俺の中にある怒り
も、憎しみも悲しみも絶望も……全ての感情が剥がれ落ちていくような気がした。
「敵!?」
エヴォピンクの叫び。
「敵……ではない?」
ディスプレイには「
俺の搭乗したボロボロの巨大ロボは、エヴォレンジャーロボの前に立ち、
爆弾魔神は俺が搭乗するボロボロの巨大ロボに向かい突貫する。
「来なよ!」
と言っても、俺の搭乗している巨大ロボはボロボロ、殆どの武装は使用不能、エネルギー装甲も機能していない、機動力もほぼゼロ。ただのデカい標的だ。
虚神の攻撃、パンチ! パンチ! 何度もパンチを喰らい続ける、よろける巨体。
「殴られ慣れてるもんでね! 温いパンチだぜ」
俺は機体を僅かにずらしパンチを回避、絶妙なカウンターパンチで虚神を吹き飛ばした。
「何だよ! あのロボットは?」
エヴォグリーンの叫び。
「よう分からん、今回の
エヴォイエローは呆れた様子で俺達の戦いを見つめ続ける。
カウンターパンチをモロに喰らった虚神は格闘戦を避け、攻撃方法を遠距離からのミサイルやビーム攻撃に切り替えた。
一方的に攻撃を受け続ける巨大ロボ、機体パーツが次々脱落していく。意識を保つのもやっと、それでも俺は負ける気がしなかった。
「見えるぜ……
目に見えている、違う。感覚、気配……オヤッさんや仲間達の「魂」がメビウスの輪の中を循環しているのを感じる。第六感って奴か?
体内に、目立つように循環しているメビウスの輪、位置が全く違う。
虚神、「マイナスの魂」が何かを語りかけている気がする。喜怒哀楽、人も持つ全ての「感情」を完全否定する絶対零度、虚空の魂。
「…………」
「…………」
俺は虚神の
「そうか…………想いは……魂は繋がっているんだな。だから」
死んでいったオヤッさん達の願い。それは。
「託されちまったんだ、未来を……」
正義の味方に叩きのめされても。何度敗北しても、再び立ち上がる。
「次こそは必ず勝つぜ!」
わかっているぜ、オヤっさん。俺は「正義の味方」にはならねえ。俺がヒーローになれば、誰かを勝手に敵だと決めつけ、叩きのめす事でしか存在意義を証明出来ねえ、哀れなクソッタレ野郎に成り下がってしまう。
俺は……いいや、俺達は誇り高い「戦闘員」……だから。
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