ある日突然異世界に転移してしまった女子高生のエリ。誰もが特殊な力を持つこの世界で、彼女が得た素質は『蟲術師』という激レアな力。その時々に応じて必要な虫を召喚できるという大変便利な力なのだが、致命的な点が一つ。肝心のエリが虫嫌いだったのだ……。
蜘蛛みたいな虫はもちろん、綺麗な蝶々ですらダメなエリにとって相性は最悪だが、異世界で生活していくためにはこの力に頼らなくてはならない。かくして自分で召喚した虫に怯えたり、時には気絶までしながらも、虫の力を借りて異世界を生き抜こうとする様子は読んでいて大変微笑ましい。そしてエリからは毛嫌いされているけど、頼まれた仕事をこなすたびに何か言いたそうにエリを見てくる虫たちが甲斐甲斐しくて可愛らしい。
異世界で暮らすための地盤の作り方がとても丁寧で、虫の力に頼るばかりではなく、現代知識をフル活用してお金を稼いだり、現地の住人と交流していく姿は、オーソドックスな異世界転生なものとしても十分に楽しめる。ただ虫嫌いなエリがなるべく虫を召喚したくないという気持ちもわかるし、ある意味リアルなのだけど、個人的には蟲術師としての力をフルに発揮して虫たちと活躍する展開ももっと見てみたい!
(新作紹介「カクヨム金のたまご」/文=柿崎憲)
まだ、一章までの感想ですが全体的に読みやすさのある不快感を感じない物語です。
突然、異世界にきてしまった中で優しい人たちに囲まれながら生活していきます。
嫌なことや蟲術師のスキルを使って嫌がることもあるのですがすぐに前向きな気持ちで切り替えていくので読んでいる側も気持ちよく読んでいけます。
タイトル通りスキルは有能なのに本人が嫌がるのでスキルにはなるべく頼らないという縛りが自然とできています。
また、本人の思考が調子に乗らない庶民派なのがまたよいです。
それでいて、無自覚に現代知識を披露してのし上がったいく要素もあるのでこれからこの無自覚がどこまで広がるか楽しみです。
一度、読んでみることをお勧めします。最初の2話ぐらいでこの主人公好きかもと感じたら、おすすめです。