あとがき
この物語を読んでいただき、ありがとうございました。
奇妙で不安定な世界の中で、拓海がどんなに努力しても、結局はその運命から逃れられなかったことに少し寂しさを感じているかもしれません。
ですが、逆に言えば、その無限の繰り返しこそが、この物語の本質でもありました。
「記憶の箱」に囚われる拓海の姿を通して、時間と記憶、そして運命がいかに複雑に絡み合っているのかを描きたかったのです。
物語の中で、拓海が未来を変えようとする試みが裏目に出る様子は、私たちが時として持つ「過去を変えたい」という願いに対する警鐘のようなものでもあります。
もしかしたら、変えられないものがあるからこそ、今を大切にすることが大事なのかもしれません。
また、拓海の姿が描かれる中で、読者の皆さんが少しでも自分自身の過去や記憶に向き合わせるきっかけになれば幸いです。
記憶の中で繰り返すことができない、現実にしかない瞬間の大切さを感じてもらえたら嬉しいです。
この物語は一つの終わりを迎えましたが、「記憶の箱」を開ける次の人物が登場すれば、また新たな奇妙な物語が始まることでしょう。
それは、誰かがまたその箱を開けるまで、永遠に繰り返され続けるのです。
最後に、読んでくださったすべての方々に心から感謝を申し上げます。
この物語が、少しでも心に残ったなら、それが私にとっての最大の喜びです。
「記憶の箱」 哀原勝喜 @masaki_aihara
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