第4話:同じことは重なるもの。

だけど、考えてみたらグロチンコが私の部屋にいたら、私は人間の男子と恋愛

できないかも・・・それはちょっとネックよね・・・。

彼氏ができても部屋に連れて来られないし・・・グロチンコに押入れに隠れててって

言ってもヤキモチ焼いて絶対出てくるから・・・。


あんたのせいで私に彼氏ができないから出て行ってってのも可哀想だし

考えてみたら、私より先にいた部屋の住人だしね・・・。

それに今のところグロチンコは私の彼氏、第一候補だし・・・。


しばらくこのまま様子見ってことでいいかな?

日にちが経てば、なにか動きもあるでしょ?


そんな訳で、ヘタレなグロチンコが現れて次の日から私は大学にでかけた。


「いってらっさい・・・お気をつけて」

「あの、古都音ことねさん・・・いってらっさいのチューはいりませんか?」


「いらないわよ・・・それって普通、逆でしょ・・・男性がでかける時に

ゲン担ぎで女性からするもんでしょ?」

「それにグロチンコ、私の彼氏でもないし・・・」


「まだですけどね・・・」


「なにそれっ?いずれは彼氏になるって言うつもり?・・・すごい自信ね」


「僕はもう古都音さんのこと大好きですから・・・あとは古都音さんの気持ち

の問題だけです」


「だって幽霊となんか恋人同士になれないでしょ?」

「親や知り合いに彼氏は幽霊なんですって紹介できると思う?」


「僕のことは人間ってことにすればなんの問題もないじゃないですか?」


「ポジティブだね、グロチンコ」

「だいたいにおいて、そのポジティブな性格はいいと思うけどね・・・」

「その前向きな性格、ちょとだけ私の彼氏に近づいたぞ、グロチンコ」


「まじですか?」


「ちょっとだけだぞ・・・1センチくらいな」


「じゃ〜1ヶ月もすれば、古都音さんは僕の彼女ですね」


「なんでそう言うことになるの?・・・計算もできんの?」

「もういい、新太郎と話してると終わりそうにないから私、大学に行って

くるね・・・留守番お願いね」


「あの・・・グロチンコって呼ぶのやめてもらっても・・・」


「一人前に文句あるの?グロチンコ」


「いってらっさい・・・」


部屋に誰かひとり増えると余分なエネルギー使っちゃうよね、やれやれ。


でさ、こう言う時に限って間が悪いことに男から告られたりするのよ・・・。

「西松」って男子が私に付き合ってくれないかって告って来た。


もうやめてよ・・・幽霊と人間、男二人の面倒みれないわよ・・・。

だから丁重にお断りした。

そしたら昼休みに「木下」って男子からまた付き合ってくれって告られた。


だから丁重にお断りした。

で、これから帰ろうって思った時に「新田」って男子からまた告られた。


バカにしてる?・・・なんで今日に限って3人も・・・ひとりでもやっかいなのに

4人も面倒見れないわよ。


こう言うのって重なるのよね・・・。

でね、訳ありアパートに帰ったのよ・・・そしたら、見たことない女性が

部屋に上がり込んでグロチンコと、深刻そうに話してたの?


いったい誰?・・・グロチンコが部屋に入れたの?


「あ、古都音さん、お帰りなさい・・・」


「ただいま・・・あの・・・グロチンコ・・・その女性は?」


「ああ、紹介します・・・僕の元カノの「生稲 美月いくいな みづき」ちゃんです」


「はじめまして、こんにちは・・・あの新太郎がお世話になってます」


「元カノ?・・・まじ?」


つづく。


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