第3話:新太郎の悲喜こもごも。
私は新太郎さんに私の服を持ってきてあげた。
Tシャツにジーンズ・・・ちょっと袖と裾が短いけど、あのままグロいフランク
フルトぷらぷらさせられるよりはマシ。
あのままじゃキモいから、マジックで目でも描いてやったら多少は可愛く見える
かも・・・亀みたいに・・・。
もし、もしだけど新太郎さんとエッチなんてことになったら描いてやろう、目玉。
「あの〜
「分かってるわよ・・・顔や体までチンコくらいグロかったら、とっくに追い出してるわよ、グロチンコ」
「グロチンコってなんですか?新太郎って名前あるんですから」
「いいの、目玉描くまではグロチンコなんだから・・・」
「目玉?・・・なんですかそれ?」
「そんなことより・・・グロチンコはなんで亡くなったの?・・・原因は?」
「大失恋が原因です」
「え〜?そうなの?・・・付き合ってた彼女と?」
「そうです・・・」
「エッチさせてもらえないまま別れちゃったんだ」
「別れたって言えば聞こえはいいですけど、思いっきりフラれたんです」
「だけど、彼女にフラれたくらいで普通死んじゃう?」
「彼女は僕の全てでしたから・・・それに僕打たれ弱いんです」
「で、この部屋で亡くなったんだよね」
「はい・・・眠り薬とかいろんな薬ごちゃまぜにして、そんなに飲んだらヤバくね
ってくらい飲んで・・・」
「その大失恋がトラウマになって僕、もう恋愛ができない男になってしまいました」
「そう・・・恋愛はもうできないのにエッチはできるんだ」
「それは恋愛とは関係ないです・・・愛なんかなくてもエッチはできますから」
「心と体は別なんだ・・・じゃ〜風俗にでも行けばいいじゃん」
「好きなだけさせてくれるでしょ?」
「あ〜そうですね思い付きませんでした」
「でも、お金持ってないですから無理です」
「で、私にエッチされろって?」
「そう思ったんですけど・・・考えてみたら
「そうよね・・・悪いけど・・・」
「いいんです・・・古都音さんが僕を好きになるまで我慢します」
「ポジティブだね・・・諦めないの?・・・私がグロチンコのこと好きになるかどうかなんて分かんないよ」
「それに恋愛できないんでしょ?元カノにフラれたトラウマで」
「いや〜・・・古都音さんに会って考え変わりました」
「そんなに簡単に?・・・まじで?トラウマ克服できるの?」
「まあ、恋愛できないって思ったのは僕の思い込みみたいです・・・」
「元カノがすべてじゃなかったの?」
「新しい出会いは人の心も変えるみたいです」
「いい歳こいて、いつまでも過去を引きずってちゃいけないと思いまして・・・」
「まあ、それはいいことかもしれないわね・・・」
「それにもう死のうと思っても、死ねませんしね」
「僕、古都音さんに好きになってもらえるよう努力します」
「だから家事は僕に任せてください・・・これでも僕は三ツ星レストランで働いて
たことありますから・・・」
「本当?・・・グロチンコ料理できるんだ・・・まあ最近料理男子、珍しくない
からね・・・でもいいの?」
「任せてください・・・安心して大学へ行ってくだされば・・・」
「で、僕のことを少しづつでいいから好きになっていってください」
「そうね・・・まあグロチンコ、案外イケメン君だしね・・・私、面食いだから、
もしかしたら脈ありかもね」
「よろしくお願いします」
こうして私、
私は大学へ、グロチンコは家にいて家事をこなしてくれることになった。
私の私生活が変わるだろうし、うんと楽になりそう・・・。
エッチくらいさせてあげてもバチは当たらないかもね、ってちょっと思っただけ。
だけど、いいのかな?幽霊とは言え男性を部屋に連れ込んじゃって・・・
もしグロチンコが管理人さんに見つかったらどうしよう、ここは正直に言うしかない
かな?
なんせ訳ありな部屋だから、幽霊が出て居ついちゃったって言えば信じて
もらえるでしょ?
まあ、幽霊で出るってのはウソじゃないからね。
つづく。
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