第2話:グロいフランクフルト。

「あ、今日が7月26日だからです・・・」


「は?」


「なんで7月26日なの?」


「7月26日は「幽霊の日」なんです、だからそれで・・・」


「あ、そうなんだ・・・幽霊の日なんてあるんだ・・・知らなかったわ」

「だけど別に7月26日に拘らなくてもよかったんじゃないの?」


「そうですけど・・・出て来なかったのには他に理由もありましたし・・・」

「不要に出てきて霊媒師とか連れて来られてお祓いされると困るので・・・

だから怖くて今日まで出てこなかったんです」


「なるほどね・・・でも、お祓いなんかしないから、私の生活の邪魔さえしなきゃ、

時々は出てきてくれても問題ないわよ」

「話し相手になってくれると気がまぎれるから・・・あなたイケメン君だし」


「え?いいんですか?」


「うん・・・いいよ、幽霊ってもっと不気味で怖いのかと思ったけどそうでも

なさそうだし・・・おまけにさん・・・今も言ったけど幽霊にしてはめっちゃイケメン君だよね・・・生前モテたでしょ?」


「そうでもないんです・・・現実は厳しいですからね」


「あのさ・・・幽霊になって出て来るってさ・・・この世に未練があるからって

よく聞くけど、さんもそうなの?」


「はい、実はですね・・・生前、僕には付き合ってた彼女がいたんです」


「モテてるんじゃない?」


「まあ・・・だけど、僕は彼女とエッチもできないまま、あの世に逝っちゃったから、未だに童貞のままなんです」

「エッチもできないまま、あの世を彷徨うなんて未練が残って・・・できたら自分

の望みを叶えて、思い残すことなくあの世に行きたいんです」


「はい?・・・エッチ?」

「彼女とエッチできなかったことが未練なの?」


「そうですけど・・・変ですか?」


「変って言うか・・・そのくらいのことで?って思っちゃうでしょ?」

「未練ってもっと強い感情なんじゃないの?」


「エッチできなかったことだって強い感情ですよ」

「僕にとっては切実なんです、エッチできなかったってことが・・・」


「そんなにエッチしたいの?」


「そりゃもう・・・」

「それで、ご相談なんですけど・・・よかったら僕とエッチしてもらえませんか?」

「図々しいお願いとか思いますけど頼めるのは、さんしかいないんです」

「今まで、この部屋を借りていたのは男性ばかりで女性にめぐり合うことなかった

んです・・・今回ようやく女性に、さん巡り会えたんです」


「なに言ってるの・・・エッチなんかできるわけないでしょ・・・今日会ったばかりなのに・・・しかも幽霊となんか」

「だいいち、幽霊なのにエッチなんかできるの?あなた」


「それができるんです・・・幽霊って下半身がないってイメージですけど、あれは

実際、幽霊に会ったこともない絵師が勝手にイメージして描いたんです」

「幽霊は足もあるし、チンチンだってちゃんとあるんです」


「ほらね?」


「持ち上げない・・・さっきから見えてるわよ、そのグロいフランクフルト」


「どうでしょう?僕の希望叶えていただけないでしょうか?」

「もしエッチさせていただけるなら、それ相応の見返りあると思うんですけど」


「見返りって?」


「たとえば、今後のさんの運気が上がるとか?・・・何をやってもうまくいくとか?」

「そう言うの、社会に出たらなおさら役に立つと思うんですけど?」


「それほんと?・・・まじで言ってる?」


「まじまじ・・・騙されたと思って・・・」


「ダメダメ・・・にしたってエッチは無理だって・・・恋愛中の彼氏となら、いい

かもしれないけど・・・セフレな関係はダメだよ」


「そうなんですか・・・よわったな・・・外にエッチさせてくれる女性探しに行く

わけにはいきませんし・・・僕、この部屋から外にでると消えちゃうかもしれない

んです」

「この部屋は磁場が強いから、ここにいられるのかもしれません」


「それなら、いてもいいいけど・・・エッチはできないからね」


「そうなんですか・・・」


萩原 新太郎さんはドヨ〜ンって落ち込んだ。


「そんなに落ち込まないでよ・・・私が悪いことしてるみたいじゃない?」


「いいです・・・そうですよね、いきなり現れてエッチさせてなんて虫が良すぎ

ますよね・・・分かりました・・・しばらくインターバル取ります」


「インターバルってなに?・・・諦めないの?・・・いくらインターバル取っても

ダメなものはダメだからね」


「あ〜あ、もう僕のチンコに楽しい思いさせてやることはないのかな?」


「だから、持ち上げないの・・・グロいんだから」


つづく。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る