攻略道中
第一話 関東第一ダンジョン
最低限の装備を整え終えた僕たちは、関東第一ダンジョンの入り口に立っていた。このダンジョンは、僕が通っていた高校のすぐそばにある、塔のような形をしたダンジョンだ。
大臣さんたちから聞いた話によると、現在確認されているダンジョンの形は、塔型、洞窟型、遺跡型、森林型、特異型があるらしい。それぞれのダンジョンには特徴があり、塔型や洞窟型は階層が別れており、上に登っていくか、下に降りていくかという違いがあるそうだ。
遺跡型と森林型は物凄く広い階層が一つしかなく、そのダンジョンのどこかにいるボスを討伐することでクリアとなるそうだ。そして、特異型は正確な形が定まっておらず、入る時間帯などで内部の構造が変化していくらしい。
ちなみに、ダンジョンの内部の様子が分かった理由は、ダンジョンに誤って入ってしまった人や、政府が派遣した自衛隊員からの情報をもとに分類したそうだ。自衛隊の皆さん、お疲れ様です!
「ここが……ダンジョン……!」
「そうみたいだな」
異質な存在感に驚く僕とは対照的に、神城くんから返ってきた言葉は物凄く淡白だった。成田さんや佐藤さんもあんまり驚いていなかった。
「な、なんでそんなに反応が薄いの? 初めてダンジョンに入るのに……」
「いや、お前がクラスで見せたあの魔法の威力の方が断然驚いたし。あれを見てから驚くことが減ったんだよなぁ」
「確かに……。学校で、急に『小テストを行う!』って言われても驚かなくなりましたもんね……」
「不本意だけど、優馬に同感ね、不本意だけど」
どうやら、僕のせいだったらしい。あと、『小テストを行う!』って言われて驚かないのは、佐藤さんみたいに普段から真面目に勉強している人たちだけだと思うよ?神城くんなんて、完全にフリーズしてたし。神城くんは勉強よりも運動が好きみたいだからね。それに、授業中もよく寝てるし。一応、課題とかはしっかりやってるみたいだけど。
「そ、そっか。じゃあ、早速入ろう……」
そうして、僕たちの初のダンジョン探索が始まった。
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「中は、思ったよりも普通だね……」
「そうだな」
ダンジョンの中に入ると、石でできた通路が僕たちを出迎えた。その通路は、薄暗くはあったが、光源がなくても前を見ることはできた。通路も思ったより整備されており、地面の所々に小さなヒビが入っていること以外は、街中の整備された歩道のようだった。
「て、敵は、いなそうですね……」
気のせいかもしれないが、佐藤さんの声が少し震えていた。初めてのダンジョンだし、無理もないよね。僕は、全然怖くないけど。
「大丈夫だよ! 千夏ちゃん! 私たちもいるから! いざって時は優馬を殿にすればいいよ!」
「ちょっと待て。せめて戦闘職が殿を務めるべきだろ。奏真とかさ」
「え、僕? 撤退戦には向いてないと思うけど……。足が速いわけでもないし。それに、そんな状況にはならないと思うよ?」
「いや、念には念をってやつだぞ。備えは大事だからな」
「そう? でも、そんな状況になる前に倒せばいいんじゃない?」
「そ、それはそうなんだが……」
ふと、僕は自分の言動に違和感を覚えた。なんで『こんなに自信に満ちたことを言ってるんだろう?』
ダンジョンに入るのは初めてなのに。つい先日まで戦いなんてしたこともなかったのに……。
僕は頭を巡らせて考え、すぐに辞めた。だって、気にしてもしょうがないし
「じゃあ、神城くん。出番だよ?」
「え? まだ魔物はいないじゃないか」
「神城くん。自分の
「あ……あぁ、そうだな。そういえば、俺は戦闘職じゃなかったな」
そう言って、神城くんは大きな白い紙と筆記用具を荷物の中から取り出すと、スキルを発動させた。神城くんが目を閉じ、ものすごい速さで紙に地図を書き込んでいく。
目を閉じても一切の迷いなくペンを動かしている。これが、スキルの効果なのだろうか。
「……よし、できたぞ」
神城くんが書き上げた地図は見事な物だった。迷路のように入り組んだ通路や、隠されるように配置されている部屋、さらには、魔物らしき点まで記入されている。
「す、すごいですね……。こんなに短い時間で完成させるなんて……」
「へぇ、やるじゃない。見事な出来栄えね」
佐藤さんや成田さんも感心しているようだ。もちろん、僕も驚いてる。あのスポーツ大好き人間の神城くんが、こんなに細かい地図を書き上げたんだから。
「そんなに褒めんなよ……。特に、瑠夏に褒められるのは変な感じがするんだよ……」
「なに? 照れてんの? あんたにもそんな感情があったのね」
「は、はぁ? 別に照れてねえよ!」
やっぱりあの2人は仲がいいなぁ……
特異点α 舞川K @mk-267
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