ずっと大好きだよ
ほしのしまのにゃんこ
ずっと大好きだよ 完結
「はじめまして、あたしの名前は夏穂です。」
太陽に負けない位に、明るい笑顔を見せる女の子は、所作が綺麗な位に深々と頭を下げる。
それに対してあたしは、お母さんの後ろに隠れてしまい、ちらりと女の子を眺める。
それを見たお母さんは面白そうにクスクスと笑う。
【ごめんなさいね、この娘、人見知りが激しくて。ほら、結衣、ちゃんと挨拶はしなきゃ。】
あたしの背中へ手を回して軽く前へと押し出すようにする。
そのはずみで、あたしは転けそうになるけれど周りの視線に気がついた。
ゆっくり、ゆっくり足を動かしてお母さんを見る。
"大丈夫よ、結衣。ほら、頑張って!!"
小さな声が聞こえてくる。
頷いたあたしは大きく深呼吸をし。
「はじ、はじめまして。あた、あたしの名前は結衣です。六歳です!!」
顔を真っ赤にさせて勢い良く頭を下げる。
「わぁーーー!あたしと同じ年だぁ。」
楽しそうな声が聞こえ、頭をあげると目をキラキラ輝かせ、頬が緩んで可愛らしく笑う女の子が見えた。
「あたしと仲良くしようね、結衣ちゃん♪」
「…………ほぇ?」
キョトンと立ち尽くすあたしに、女の子は近づいてきて更に可愛らしい笑みを浮かべた。
「こんな可愛い子と仲良くなるなんて、夏穂嬉しいな♪」
「………う、うん。ありがとう。」
可愛いだなんて生まれて初めて聞くあたしは、顔を真っ赤にさせて俯いてしまう。
「本当に可愛いーーー!和樹がいたら絶対に、ねぇ、お母さん♪」
和樹?
だれ?
戸惑うあたしとは対象的に女の子は側にいる、母親らしき女性へ声を掛けていた。
「実は、もう一人いるんですが、熱を出して今寝込んでいるんです。今度会わせますが双子なんですよ、この娘ともう一人はね?」
クスクスと面白そうに女性は笑う。
「結衣ちゃん、夏穂と仲良くしてね。」
「も、もちろん、、、です。」
「あーーー、お母さん!あたしは絶対に仲良くするもん!ねーーー、結衣ちゃん。」
声を遮った女の子は、ぷくりと頬を膨らませて女性を睨み、対象的にあたしにはとびっきりの笑顔を見せた。
「結衣ちゃん、遊びに行こう!」
あたしに近づいてきた女の子は手招きをする。
「ね、いいでしょ?お母さん!」
【困ったわね、遠くには行かないでね。】
「やったー!結衣ちゃん行こう!」
困った顔をする女性に気がついているのに、女の子はあたしの手首を掴んで歩き出す。
戸惑いながらも、未知の経験にあたしも笑顔になっていくのがわかった。
これが、あたし。
水無月結衣と親友である夏穂の出会いだった。
ふっと目が覚める。
頭の中がぼんやりとしていて、身体がやけに重い。
あの夢を見たせいなのか。
とても懐かしい夢。
離れてから、どれぐらい経ったんだろう。
もう、わからなくなってしまった。
「........夏穂ちゃん、幸せだといいな。」
「......そうだな。」
小さく呟いたつもりなのに、聞き覚えのある声に思わず固まってしまった。
な。
恐る恐る目だけを動かしてみる。
「......き、き、きゃあーーーーー!!」
被っていた布団を首まで被る。
「あのな。ここはお姉さんと一緒に住んでいる話になっているだろう。いい加減に慣れないと困るんだが。」
意味深な笑みを浮かべる男に。
ムカっ!!
ガバリと勢い良く身体を起こして睨みつける。
「あの、お言葉を返すようですが。」
続きがわかっていたのか、あの男はニヒルな笑みを浮かべた。
「綺麗だったな。」
「.......え?」
「如月夏穂さんだよ。」
その言葉を聞いた途端顔が真っ赤になる。
「そうですね、とっても綺麗だった。」
先日、親友である夏穂ちゃんの結婚式だった。
誰から聞いたかというと、側にいる男からだ。
真っ白なウェディングドレスに身を飾った夏穂ちゃんは、本当に綺麗で思わず泣いてしまった。
「良かった、本当に。」
「結衣も着たいか?」
「‥‥‥‥‥‥はい?」
思わず、あの男をみると悪戯な笑みを浮かべていた。
むっ。
「あのですね、彼氏なんていません。」
思いっきり頬を膨らませる。
「俺とだったら?」
「‥‥‥‥‥‥‥はい?」
思わず変な声がでた。
「ばかな事を言わないでください!もう。」
ふいと顔を逸らすと、あの男は爆笑していた。
本当に油断がならない男。
私の気持ち知っているくせに。
ふと、窓から見える空を眺める。
透き通った青空は、あの時に初めて会った、あの日と同じ青空。
眺めていると、ふいに涙が零れる。
夏穂ちゃん、会えなくてごめんなさい。
だけど、ずっと、ずっと大好きだよ。
これからも。
真実が言えなくて、私が吸血姫だと言えないで。
それだけは、本当にごめんなさい。
「結衣。」
あの男がふいに近づいてくる。
躊躇わなく、私はあの男に抱きつき。
そして差し出された血を飲んだ。
【完結】
ずっと大好きだよ ほしのしまのにゃんこ @minajuki
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます