主人公の総統は、何度も何度も同じ様なことを言ってくるが、その理由は最後の一文で分かる仕組みになってくる。同調からの軽蔑を感じ、読者は作者の思う壺にハメられることだろう。
作者のSFに懸ける情熱が、光り輝くばかりに感じられる。主人公の総帥は、SFは捏造だ!という表現を繰り返すのだが、それは、とりもなおさず、SFこそ本物だ!と訴えているように聞こえるのだそして、短編小説としてのオチも決まっている。SFという夢をご覧あれ!
面白かったです!ジョージ・オーウェルの1984年のモデルがオセアニアだとは知りませんでした。……ってオセアニは大陸だ!? 国じゃねえ!?ずるい言い方だなあ……。ラストのオチまで風刺が効いていて楽しめます。ご一読を!
申し訳ないことにSFにはそう詳しくはないのですが、それでも読んでいて「SFって面白いんだよ」と訴えかけられているようでワクワクしました。SFに詳しい方にも、私のように門外漢な方にもおすすめです。