第2話
あの人達が今日から旅行に行く
「行ってらっしゃい詩織さん、父さん」
『行ってらっしゃい』
「薫、百合ちゃんの事頼んだぞ」
「うん」
パタン
ドアが締められる
「百合ちゃん、今日はどんな予定?」
『いつも通りかな…部屋にいるよ』
「そっか、そのさ…友達から遊園地のチケット貰ったんだけど……」
『へぇー、凄いね』
「あ、うん、それでさ一緒に行かない?」
『ごめんね……私はよしとくよ』
「そっか……」
そういうと手元のチケットがクシャッと握られる
怒らせたのかな……
『ごめんね……』
振り返らずそのまま去ろうとする
ぐいッ……
「百合ちゃんはさ……僕のこと嫌い、、?」
それを聞いてどうするんだろう……
お互いが傷つくだけなのに……
『嫌いじゃないよ』
そう恨んでなんか……
「そ、そっか」
私達のこの曖昧な関係……の全てはあの母親が原因なのだから
会話が途切れたのに離されない手首……
『どうしたの……』
「どこなら出掛けたい?」
『何処って……』
「……」
『……寂しいなら友達に連絡した方が』
「百合ちゃんと行きたいんだけど……」
ここまでされると困る……
何を考えてるの一体
『そういうことは好きな人に……』
「僕百合ちゃんのこと好きだから良いんだよ」
『……何言って……』
「本当だよ?冗談じゃなくて」
こうやってお父さんが貴方のお母さんにに落とされたように異性を可笑しくさせてしまうのだろうか
『今なら聞かなかったことにしてあげるから、もうこの話はしないで』
「母さんのせいだよね……」
わかっててその話をするの?
『あなたはそう思うの?』
「……母さんが悪いとは正直思ってはないよ……思うがままに生きている人だから」
『思うがままに生きていたら、 人のものを誘惑して奪っていいと思ってるの?』
「欲しがりが悪い事じゃないと思ってるよ、誘惑したのかは知らないけれど君の方の夫婦も僕のところの夫婦も冷めていたから」
『何適当なこと言って……!!貴方の母親が原因だったのよ……何も知らないと思わないで』
「僕の母親が出てこなくても他の人に誘惑されてたんじゃないかな……」
『父さんを野放しにした私のお母さんにも非があるって言いたいの……?』
近くにあった彫刻の物置を手に取り振り上げてるのに
男は動かずただ私を見つめる
ガチャ……
「!!ッかおる!」
「薫くん!!!」
「何やってんだてめぇ……」
「みんな近所迷惑だからちょっと静かに」
「はぁ?お前何言って狂気振り上げら手首を押さえつけられてるのに」
「何してるんですか!!薫くん傷つけたらタダじゃ起きませんから」
『はぁ……』
部屋に戻ろうとすると腕を掴まれる
『何……』
「薫くんに謝って!」
「もうやめて桜」
「で……でも」
掴まれていた腕が離される
彼女の視線は嫉妬丸出し……
部屋にもどりベッドに横になる
ピコン……
その通知を見て出かける準備をする
下に降りるとまだ帰っていなかったのかさっきのメンバーがいた
「百合ちゃんどこか出かけるの?……なら一緒について……」
「もうその子のことなんてどうでもいいじゃん」
「どうせ男と会うんだろ」
勝手に言ってたらいい……
連絡がきたいつものカフェに着くとあの席にはもう彼が座っていた
『ごめんなさい、待ちましたよね』
「時間通りだよ。急だったしね、」
『どうでしたか……今回の』
「良かったよ、いつも以上に闇深くてね、でももうちょっと具体性があった方がいいところが何個かあったから」
『あ、はい』
それから日が暮れるまで試行錯誤……
直しの部分をパソコンにめもって行く
「結構今回締切早かったけど作業いい感じに進んだね」
『そうですか?頑張ったかいがありました』
「頑張りすぎも良くないよ…ちょっとくまができてる」
彼の指の間接で目元に触れられる
『ふぇ///、あ、はい』
「今日うちくる?」
『迷惑じゃないですか……』
「迷惑だなんて思ったことないからね」
『はい』
「そろそろ出ようか、」
立ち上がりカードを出そうとするのに当たり前かのようにいつも通り彼が支払う
店員の若いお姉さんの視線が彼に釘付けになっていて服の裾を少し掴みお会計が終わるのを待つ
「早く帰ろうか……」
覚めた口調なのに不意に握られた手はあったかくて
手を引かれたままタクシーに乗り込む
一応連絡しなければと思い連絡先から義弟を探して『今日は帰らない』と送る
横から覗き込む彼……
「いつもお父さんに連絡してなかったっけ?」
『昨日急に両親が旅行に行くって言い出して当分帰ってこないみたいで』
「それ、今言うことじゃないよね…」
『ごめんなさい……隠したわけじゃないから』
「謝って欲しいわけじゃないよ……百合のそういう軽率なところ好きになれないよ」
そんな会話をしているうちに彼の住んでいる高級マンションの前に着く
玄関に入ると中に進んでいく彼
「今お湯沸かしたから少しのあいだリビングで待ってて」
言われた通りいつも通りソファに座る
「その義弟といつまで二人きりなわけ、」
『詳しく聞いてないけれど…3日間はかえってこないと思ってる感じです』
「その家……」
お風呂が湧きました🎶🎶
「邪魔が入ったね……話はまた後で、先に温まっておいで」
その言葉に甘えてお風呂に入りゆっくりする
トントントン
「百合、着替え置いといたから」
『あ、ありがとうございます』
お風呂から上がり用意されたTシャツとズボンを履く
「お風呂ありがとうございます……」
歪んだ愛 @reiruna0805
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