あとがきとネタばらし

いかがでしたか「白い騎士団と鋼鉄の処女」楽しんでいただけましたでしょうか?


実はこの小説、以前公開していたさいはクライマックスのリューホ軍一万人の敵兵とオリビアの戦い、描写が全く違います。

書いた8年前からもとネタのプロットはしっかり今回リライトしたこの構想が頭の中にありました。


しかしそのころまだ「カクヨム」をはじめて一年ほど。どれほどの事を書いていいのか基準が分からず、このオリビアの惨殺シーンを書くとカクヨム運営に削除されるかもとびびってしまい、矢が2、3本突き刺さってクオークが治すといういつものありきたりな描写に泣く泣く差し替えたんです。


しかしそのために最後まで単なるお気楽エロファンタジーで終わってしまいました。味気ない後味を残し、それからこの小説の事は忘れていきました。


しかし今回このコンテストに挑戦するにあたり、最初の原案通りのプロットを完全復元しようと思い立ちました。


物語はずっとお気楽ファンタジーで進行していき、最後のリューホ軍との決戦で一気にダークファンタジーに引きずりこみ物語をしまらせる。オリビアの惨殺、コーエンとの極限の愛、目立たなかった中級ヒーラークオークの壮絶な最後。


さらに原案にはなかった手を加えました。オリビアが最凶の魔女に目覚めた瞬間、それまで弱々しかった女の子のオリビアの中に眠っていた、気性の激しい男の明矢が復活し、一人称を「私」から「俺」に変えました。そのへんうまく伝わっていればいいのですが。


ねたばらしその1


原題の「鋼鉄の処女」という言葉、年代を重ねているいる人はもうお分かりでしょう。単に最後まで処女を守る女の子という意味だけではありません。これは世界的に有名な1980年にメジャーデビューをしたヘビーメタルバンド、「アイアンメイデン」のファーストアルバムの名前です。僕は高校生の頃からハードロック、ヘビーメタル系のバンドを組んでおり、メタルのはしりでもあったアイアンメイデンが大好きでよく聞いていました。


バンド名の由来は中世のヨーロッパで使われていた「鉄の処女」という拷問器具。オリビア惨殺のシーンもこの拷問器具が背景にあります。「拷問器具 鉄の処女」で検索をかけないでくださいよ……とんでもない記述が出てきますので。


当時はやっていたのは、これは日本でも大ヒットとなったボンジョビの「ユーギブラブアバッドネーム」「リビニンオンアプレイアー」などをバンドでやっておりましたが、個人的な趣味でアイアンメイデンのギターを寝食を忘れて練習していました。


特に好きだったのが「暗黒の航海」という作品です。ハードな出だしから一転、おぞましげなスローテンポの絶望の航海のシーンが描かれ暗い物語の語りが入り、それを抜けると徐々に希望の光が差し込み、クライマックスでは超絶なるギターソロがうなりを上げ、また最後に激しい出だしに戻るという15分にもなる超大作です。


いまユーチューブでこの曲のライブバージョンが聞けます。よろしければ探してみてください。


ねたばらしその2


これも原案にはなかったクオークの唱える2つのマントラ。新たに付け加えました。


「ガザン・ダーク・ガザン・タッタッ・ブラー!」


「ネティス・ギーク・ギーク・ネーフェス・ベッタラ―・ウオー・エーイ・ウオー」


これを読んで一部の人はにゃっとしたはず。そうです。これは映画「ワンピース・フィルム・レッド」で主人公の「ウタ」が地獄の魔王「トット・ムジカ」を復活させる時に歌う歌に出てくるルーン文字の呪文です。


アドちゃん大ファンなんですよー!いつかライブに行きたい!でもチケットは世界中で5分で完売するそうです。まず取れないだろうな……。


なかでもこの「トット・ムジカ」が大好きで、スタジオライブ版がユーチューブで見ることができます!震えるような美しい裏声、サビのラウド、そして最後の絶叫!アルバム版とは比べ物にならないほどとにかく鳥肌ものです!みなさんもぜひ一度ご視聴になり、アドちゃんにはまってください(笑)


ねたばらしその3


リューホとコーエンの最後の決闘の途中でリューホが泣き出し、その本当の心の内を吐き出すというものです。

これを書いたときの僕は「ま、殺されてあたりまえだ」としか考えていませんでした。

しかし今の僕はリューホの心の叫びが痛いほど分かるんです。

なのでオリビアに「神はあなたを見捨てない」と代弁させました。

このセリフを書いている途中から、なぜか号泣しはじめまして。

はじめはオリビアの優しさに泣いているだけだと思っていました。

しかし2日後にやっと気づいたんです。親鸞上人がとなえた「悪人正機説」に。

一応説明をネット記事から引用して載せてみます。

「すべての衆生は根源的な「悪人」であるがゆえに、阿弥陀仏の救済の対象は、「悪人」であり、その本願力によってのみ救済されるとする。つまり「弥陀の本願に相応した時、自分は阿弥陀仏が見抜かれたとおり、一つの善もできない悪人だったと知らされるから、早く本当の自分の姿を知りなさい」とするのが、「悪人正機」の本質である。」

まさにこの教えに泣いたんです。

人は歳をとればとるほど先人の教えが深く理解できるようになっていくもの。

これは「金の盾と青い牢獄」でも出てきます。悪の限りをつくす悪魔リーガル。「悪とは剥き出しの本能よ」と言ってはばからない極悪人の中の極悪人。リーガルは僕が書いた小説の悪役の中で、最も悪い奴です。ラスボスのマスティマなんかかわいいもんです。そんな奴でも最後は最高神ゼウスの力によって天国に行きます。

(このラストどうかな?)と自分で書いててどうかなと思っていたんですけど、今はそれでよかったと思っています。悪魔さえ救われる。これこそ宗教の本質であり、存在意義なのだと。

何を書いているのかよく分からなくなってきましたね(笑)酔ってんのかな?酒も飲んでないのに。

まあ、「白い騎士団」もこれでやっと納得のいくラストを迎えることができたと言いたかっただけです。へへへ。


以上であとがきとねたばらし、終了させていただきたいと思います。


ではまたー!

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白い騎士団と鋼鉄の処女 村岡真介 @gacelous

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