第5話 Sランクスキル
「そういえばCランクのスキルって、すごいんですか?」
あの俺が殴り飛ばしたチンピラのリーダーも、Cランクのスキルということで周りの取り巻きから随分持ち上げられていた。
加えて受付嬢の先ほどの言葉から察するに、Cランクもそれなりにすごいスキルということではないか?
「ええもちろん! スキルって大抵がEランクやDランクなんです」
「大体何割くらいがそうなんですか?」
「うーん。100人いれば99人がEかDですね。Cランクは1%しかいない貴重なスキルです」
Cランクが1%か。
100人に1人。
それは多いとみるか、少ないとみるか。
中学や高校で、学年に数人はいるレベル。
こう考えると決して少なくはないと思う。しかし学年の上位数人と思えば、それは確かに自慢できる程度には優秀だ。
探せばちらほらといるだろうが、貴重であるには違いないな。
「それ以上のスキルはどうなんです?」
「それ以上なんてもう、なかなかお目にかかれないとんでもないスキルですよ。Bランクは1万人に1人と言われています。Aランクはもっと少なくて、100万人に1人です。Bランク以上は国に取り立てられるレベルですよ」
「1万人に1人、100万人に1人。それはたしかにすごいな」
ここまでくると、いまいち想像しにくい。
けどなんとなく途方もない数字ってことはわかる。
「ええ。私もお目にかかったことはありません。国ではAランクやBランクのスキルを持つ冒険者もいるらしいんのですけど、うちの支部にはいらっしゃったことはありませんね。もしであったら握手しちゃいます!」
「じゃあSランクのスキルっていうのはどれくらいの割合?」
「えーと、それはもはや伝説と言いますか。何人に1人とかの次元ではありません。100年に1人出るかどうかの逸材と言われています。そのスキルを持っているだけで、まず間違いなく歴史に名が残るレベルのスキルですね」
「へぇ……」
伝説なんだ……。
100年に1人なんだ……。
「もしそんな人がいきなり現れた時には――」
「あはは。そんなの、国を挙げての大騒ぎですよ。生きる伝説なんですから。でも一度でいいからそういう人に会ってみたいですよね。話すことができたらそれだけで一生の思い出になっちゃいます」
「ふーん」
国を挙げての大騒ぎになるんだ。
俺、絶対にSランクのスキルを持っていることを言わない方がいいな。
まずそんなに目立ちたくもないし。
こういう冒険者の支部で優秀だと持ち上げられるくらいならば目立ってもいいけど、国を挙げてのお祝いなんて、そこまで持ち上げられたくはない。
それにもし俺がSランクスキルを持っていることが分かったら、まず間違いなくあの王たちが俺のことを確保しに来るだろう。
勝手に俺を異世界に呼んでおきながら、スキルのランクが低いとみるや罵倒して追放したあいつらにはいい印象はない。
正直に言うと、嫌いだ。
別にわざわざお礼参りしに行くなんて無意味なことはしないけど、俺とは関係ないところで痛い目を見て欲しいとは思っている。
それくらいには嫌いだ。
そんな奴らにとらえられ、自由を奪われるなんて勘弁願いたい。
あとあいつら魔族との戦いに協力しろとか言ってたな。
あいつらの所に捕まったらどう考えても戦争の前線に送られるだろ。
魔族との戦いとやらに駆り出されるなんてまっぴらごめんだ。
うん。
俺がSランクのスキルをもっていることは伏しておこう。
仮に誰かに言うとしても、信頼できる者にのみにする。
もちろん地球から帰る度に新たなスキルを得ることができる『一時帰宅』についても秘密にする。
「それで、レースケさんはどんなスキルなんですか?」
「こら」
対応してくれる受付嬢は後ろから来た別の職員に、ポンと頭を叩かれていた。
「他人様のスキルを根掘り葉掘り聞かないの。それ、マナー違反だからね?」
「あ、それもそうですね。ごめんなさい。わたしテンションあがっちゃって」
「あはは。別に大丈夫ですよ。それではまた」
俺は初仕事を完遂し、ギルドを出る。
ひとまず今日の夕食代と宿代はゲットできた。
今夜はゆっくり休んで、明日に備えるとしよう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます