引きこもりの日常を侵食する、可憐で奇妙な訪問者
- ★★★ Excellent!!!
冒頭から読者の好奇心を強く惹きつける、謎多き展開に引き込まれました。毎朝現れる美しい少女・雫の存在は、引きこもり生活を送る主人公・凪音にとって、日常を揺るがす異質な存在です。面識がないにも関わらず、彼の名前を知り、まるで使命を帯びているかのように現れる雫の言動は、読者に様々な憶測を抱かせます。
特に、夕暮れの路地裏での遭遇と、直後に自宅前で待ち構えているという、物理法則を無視したかのような出来事は、雫が単なるストーカーではない、何か特別な存在であることを強く示唆しています。人形のような端麗な容姿や、どこか機械的な印象を与える言動も、彼女の奇妙さを際立たせています。
凪音の抱く恐怖や困惑といった感情が丁寧に描写されており、読者も彼の視点を通して物語に没入できます。雫の儚げな雰囲気と、十七歳の高校生という設定のギャップも興味深く、彼女の背景や目的について、今後の展開への期待が高まります。
「電脳少女」というタイトルが示唆する要素が、今後どのように物語に絡んでくるのか、非常に楽しみです。