非日常へのステップ&フリーライフ ~現代と異世界を行き来できるようになったらいろんなことに巻き込まれたけど、楽しければいいの精神で生きていきます~

クラウディ

第1話 退屈ないつもの『日常』

――「楽しくないなら楽しくすればいいじゃない」


 かの有名なマリー・アントワネットが残した言葉であり、俺の座右の銘でもあるこの言葉は、ガキンチョの頃から退屈な、それはもう退屈な人生を送ってきた俺の人生を明るいものにし……


 え? マリー・アントワネットはそんなこと言ってないって? えー、ノリ悪いなぁ……ま、いいけどさ。


 はいドーモドーモ、独り言を言いながらるんるん気分でステップを踏む俺の名前は「新島にいじまワタル」と申します。以後、お見知りおきを。

 うーん、良い歩き方が思い浮かばないなぁ……これか? いやこっちの方が良いな? いやでもこっちの方が……フッ☆ こうして踊るのも楽しいもんだなッ☆


「お母さーん、あのお兄ちゃん変なポーズとってるー」

「しっ! 見ちゃいけません!」

「まだ若いのに……」


 さてさて、周囲の目が集まってきているのを尻目に、『これが一番楽しいと思えるポーズ』を次々に披露しながら俺は自己紹介を続けていこうと思う。


 実のところ俺こと新島ワタル、実はすさまじく「娯楽」というものを求めている。

 それはもう、いつも行くスーパーへの買い物があまりにもつまらなさ過ぎて、ムーンウォークをしながら買い物に出かけ、通りすがりのおばあちゃんを助けつつストリートダンサーとのダンスバトルに興じながら、愛の告白に一歩踏み出せないでいるシャイな兄ちゃんの背中を押してやったりしたくらいだ。

 あの時はとても楽しかった……まさかばあちゃんからミカンを一つもらい、その酸味から目が冴えたことでストリートダンサーの動きを見切ることができ、ダンスをしたことでテンションが上がってシャイな兄ちゃんの感情に寄り添ってやることもできた。


 だがそれでも足りないのだッッッッ!!


 人間というものは欲が深い生き物ッッッ!!!

 それゆえに、1つ満たされれば2つ欲しくなってしまうッッッッ!!

 それは俺とて例外ではないッッッッ!!


 という訳で俺氏、新島ワタルは常日頃から『楽しくなりそうなこと』を探しているのである。

 少し前なら暇すぎるあまり、荷物を纏めてから置き手紙を親の前に差し出して北海道まで一人旅をしようと思っていたくらいだ。


 だがしかぁし!!! 最近の俺は一味違うのであーる!!!!


「お母さーん、あの兄ちゃんこの間のテレビに映ってた変な人と同じポーズしてるー」

「しっ! 見ちゃいけません!!」

「仕事急がないと……」


 俺の眩しいポーズに圧倒されたのか、周囲の気配が離れていく。

 ふっふっふ……今から使う『』は、俺の厨二病時代で培われた想像力のおかげでヤバさに気づけたからな……離れてくれたようで何よりだ。

 そう考えながら、俺は人気の少なくなった公園で気合を入れ始める。


「コォオオオオオオオオオオオオ……!!!」


 奇妙な呼吸音と共に自分の感覚を研ぎ澄まし、まるで作画が少女漫画から格闘漫画に変わっているかもしれないほどに気合を入れて、シュインシュインと何やらエネルギーのようなものをイメージして力を溜める。


 気分は少年漫画の主人公。

 何でもできるような心と共に、世界の音が遠ざかるのを感じる。

 来た! ある時からできるようになった、世界から外れる感覚!!


「さぁて、今回はどんなことが起きるかな――!!」


 その感覚の中に体をねじ込ませるようにして、俺は一歩を踏み出した――!!


――瞬間、世界が引き伸ばされるような感覚に陥る。

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非日常へのステップ&フリーライフ ~現代と異世界を行き来できるようになったらいろんなことに巻き込まれたけど、楽しければいいの精神で生きていきます~ クラウディ @cloudy2022

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