第4話 魅落



 カバネから小説①が送られた翌日、私は朝から気を揉んでいました。理由は、昨晩の夢とカバネに送る感想についてです。早朝から催促のメッセージがあり、今日中に送る必要性が出てきました。カバネの言葉は毎度のことですが、煩わしく感じます。なので私は見なかったことにして、夕方に感想と一緒に返信を送ることにしました。


当初は率直に思った考えを述べようと思っていました。しかし昨晩見た夢が頭にチラつき、思考の整理が上手くできません。


ちょうどそのとき、カバネから再びメッセージが来ました。まるでこちらの様子を見ているかのように。


「お疲れ様でーす! 昨日なんかありました?

返信遅いんで少し心配ですね〜もしかして考えがまとまってないとかですか? だったら電話でもしましょー! シャトーさんってめちゃくちゃ気遣ってくれるじゃないですか! でも僕あんま気にしないんでこれを機に仲良くしましょう〜僕はいつでもオッケーですよ〜?」


こちらの気も知らずに、なんと不躾な内容だろうと思いました。とはいえ、私にとってありがたい提案でもあったのです。このままだと明日までに感想を送るのは不可能に思えました。そして聞きたいことも多々あったために、気は進みませんが承諾するしかなかったのです。


人柄が好きになれない


だけではなく


カバネとこれ以上深く関わっていいのか


そんな危機感が常にあり、私は彼と距離をとって会話していました。通話をするのが億劫なのも同様です。


ただ、この話を受けてしまった時点で退路は既に絶たれていたのかもしれません。


私は、未だに覚悟が出来てなかったのです。


もしくは、防衛本能が歯止めを効かせてくれていたのかもしれません。





 夕方の仕事終わり、不安ともどかしさを抱えつつ、しぶしぶカバネと通話をいたしました。

以下その内容を文字に起こしたものです。


「オツカレーっす! 改めまして! カバネです!

今日はお電話ありがとうございますー! いやぁ断られるもんだと思ってたんで僕うれしくてうれしくて!ほんとですねー」


「お疲れ様です。シャトーです。こちらこそお電話の提案は助かりました。ありがとうございます。本題の前に一点、御質問させていただいてもよろしいでしょうか?」


「ハイハイなんでしょー?」


「先程、久しぶりとおっしゃってましたが、もしかしてお会いしたことがあるのでしょうか? 私の記憶が正しければ、初対面だと思いますが間違っていましたら、大変申し訳ございません。」


「あはははー! そうですねぇ〜そうなりますよねぇ〜いやぁ、ま!こちらの話なので忘れてください! それよりもぜひ! 感想聞かせてください! あっその前に昨日なにがあったかも気になりますねぇ〜 」


「あっ、、はい、、、 」


電話で対峙したカバネは、想像以上にハイトーンで私は気圧されていました。そのため、新たに沸いた疑問にも触れられずに、押し切られる形で夢の話を説明しました。


念のため説明をしておきますが、カバネの声や口調はとても印象的で、一度でも対面していれば忘れるはずがありません。ですがカバネの言葉は確信めいた物言いでした。


また、後ろで不特定多数の老若男女の声が聞こえるのですが、どれも言葉聞き取れるものではありません。そして途切れ途切れにノイズのように聞こえるのです。しかしながら、聞いたところでカバネにまたはぐらかされることでしょう。なので別の質問を最後に添えました。


「 、、、という夢を見ました。カバネさん、話せるようなら教えてください。貴方は事前にこうなることを知っていましたね? 」


「あっそれは訊くんですね。概ね予想通りです。でも僕は、までは知りませんでした。」


「では、それを知るのが本来の狙いですか?」


「違います。私は小説を書かないといけないんです。私が書かなければならないんです! その為にシャトーさんから感想を聞いて、写真を撮ってもらって完成させたいんです! そのために必要なことなんです! それがあれば、シャトーさんなら撮れるはずなんです! だからお願いしたんです。私の依頼は、小説の挿絵をシャトーさんに撮ってもらいたいだけですから。信頼していますよ。もうあなたで最後なので。」


「 、、、撮れるんですね? 」


「おそらく傑作と呼べるような写真を撮れるような状況になる可能性が高いです。少なくとも、シャトーさんならそれを撮れると僕は確信しています。」


「わかりました。これ以上は聞きません。」


「ちなみにですが、まだ戻れますよ? シャトーさんの写真はそのままでも僕は好きなんで! こうして話を読んで巻き込まれてくれなくても、僕が言った場所の写真を撮ってきてくれるだけでも充分ですよ。この方法ならたぶん、、、 」


「無粋な質問は辞めてください。それよりも早く新しい話を送ってください。」


「ふふっありがとうございます! やっぱり最初からシャトーさんに頼んでればよかったのに、なんで城異さんだったんですかねぇ〜でもそのためかなぁ〜ま!どうでもいいですね! とりあえず小説送るのはいいんですけど、感想聞かせてくださいよぉ〜」


「まだ、考えがまとまってないんですけど」


「そうですねぇ〜!いやぁ!でも夢の話がだいぶ面白かったですよっ! やっぱり!って思いましたもん! 」


「やっぱり、とは? 」


「扉ですよ!扉!書いた時は、そう思ってたんですけど、よくよく考えればトイレとかどうすんだって話だったんですよねぇ〜!あははは!

でもその時はそう思ってたんで、嘘にはならないんですよね。でも新しく書くには直さないだよなぁ〜うん! あとで考えよう! 」


「以前のやり取りから思ってたんですが、嘘にはならないとはどういうことですか? 」


「今までの話をするときに嘘は絶対つかないでください。お願いします。他の誰かに話をするのは、いいです。でも嘘だけはつかないでください。それだけ約束してください。」


「 、、、わかりました。」


「シャトーさんなら問題なさそうですね。では、他になにか感想とかないんですか? なんでもいいですよー? 」


「はい、、そうですね、、、扉の話でひとつ思い出しました。父親が箱に子供を近寄らせないようにしたのは、押し花の幻覚作用とかありえないですか? 箱に装飾された押し花の位置がズレていたり、色鮮やかだったのは何度も貼り直されているため。そして使われている花には幻覚作用があって子供が聞いたのは幻聴だった。そう考えれば、終盤でおかしくなっていったのも説明がつく気がします。」


「シャトーさん饒舌ですねぇ〜! さすがは怪談好きって感じがしますっ! 」


「申し訳ございません。少し集中しすぎていました。それにしても、私が怪談好きって知ってたんですね。」


「ふふっ別にシャトーさんって隠してなかったじゃないですかぁ? だからですよ〜。それよりもさっきの話ですけど、だったらなぜ幻覚作用のある花が装飾された箱をわざわざ書斎に置くんです? 」


「そうですね、、生活に支障が出るものを敢えてよく使うであろう書斎に置く理由がないですからね。」


「いいですねぇ〜! こういう話がしたかったんですよぇ! これなら次の話も送れそうです! 楽しみにしててくださいねっ!」


ここで電話は一方的に切られました。


それから数時間後、ちょうど今


次の話がきました


私は待ち切れそうにないので、続きは次回に小説を載せたあとに書こうと思います。


それでは失礼致しました。

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異常な小説の挿絵を頼まれた 城異羽大 @akg0283

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