最終話:結局、僕にはエマが残った。

で、エマには僕が異世界へ行ったせいで恵麻と付き合ってることになっちゃった

ことを話した。


「トモ、どうして彼女がいるって、もっと早く話してくれなかったの?」


「そうだね・・・ごめんね、ふたりが鉢合わせにさえならなかったら、うまくやっていけるって思ったから・・・僕にとってはどっちも大事な彼女だからね・・・どっちか選べって言われても無理なんだ・・・ふたりとも好きだから・・・」


「妖精のエマがいなくなっても困るし、人間の恵麻がいなくなっても困る・・・」


「そうなんだ・・・だけど最終的にはひとりしか選べないんだよ?」

「ふたり一緒に同レベルの愛情で付き合ってくなんて無理あるでしょ?トモ」


「そうだよ友君・・・私だって、たとえ妖精でも私以外に友君に女性がいるなんて

イヤだよ」


「あのさ・・・こんなことになっちゃって虫が良すぎるって思うけど、このまま

ふたり同時に僕の彼女って訳にはいかないかな?」

「三人で仲良くやってけないかな?」


「私今更、私の世界には帰れないよ・・・ここで生まれたんだから」


「そうだね・・・キックボードにでもぶち当たらないと無理か?」


「トモのそれは、たまたま偶然だっただけでそんな不可抗力的なことアテに

ならないよ」

「私、ここ追い出されたら死んじゃうかも・・・だって、か弱い妖精だもん」


「恵麻・・・恵麻ちゃん、エマがあんなこと言ってるけど・・・どうしよう?」


「私だって鬼じゃないし・・・妖精さんに出てきなさいよなんて可哀想で言え

ないよ」


「じゃ〜いいじゃん・・・三人で仲良くやってこうよ・・・ほら3Pってある

じゃん・・・あれあれ」


「3Pってなに・・・トモ?」


「エッチいことだよね・・・トモ君」


「あ〜まあ・・・それはいいから・・・ついクチが滑っただけだから・・・」


3Pなんて夢のまた夢・・・エマはともかく恵麻がそんなこと許す訳ないし・・・。


で、どうなったかって言うと、恵麻は僕とエマと自分と三人でやって行くことを、

恵麻が僕の家で三人で一緒に暮らすって条件で承知した。


僕にしか興味がないエマは、三人で暮らすことにあまり関心なさそうだった。

だから僕は女ふたりとこの屋敷で暮らすことになった。

女ってのは開き直ちゃうと強い・・・あっと言う間に女同士で仲良くなっちゃって

僕にかまってくれない。

まあ、ふたり同時に迫ってこられたら、ちょっとうっとしいかも。


僕は休みの日、女ふたり連れてデートにでかけ、女ふたりと一緒の布団で寝た。

日替わりで交互にふたりを抱っこしながら・・・なんて贅沢。

僕の下半身が元気を失うなんてないでしょ?


エマも恵麻の言うことならちゃんと聞いて、恵麻はエマのために服と下着を

買って来てやったりして、まるで姉妹みたいだった・・・僕の方がヤキモチ妬く

くらいね。


普通がふたりの女を同時に恋人に持つってのはモラル違反だよね・・・夫婦で言う

なら日本は一夫一婦制・・・ひとりしか選べない。

結局、それを分かってか、恵麻のほうから言った。


「私はエマちゃんみたいな能力もないし、友君のこと愛してるけど、でもなにも

してがげられない・・・それに友君に対するエマちゃんの怖いくらいの愛情の深さには私も負けちゃう・・・エマちゃんと一緒に暮らしてみてよく分かったの・・・

友君はエマちゃんといるほうがいいんだよ」


って・・・。


「仲良くね、幸せにね」


って・・・。


恵麻にそこまで言われて僕は無理に恵麻を止めることはしなかった。

結局、恵麻は屋敷を出て行った。


本来なら妖精が屋敷を出て行って人間の恵麻が残るのが人として自然なことなん

のかもしれない。


結局、僕にはエマが残った。


たしかにエマは、なにがあっても一生、僕から離れることはない。

なんでかって?


それはエマが缶詰から生まれた時、インプリンティング「刷り込み現象」ってので、最初に見た僕を自分の恋人だと信じて愛してるからだ。


エマが学習した経験は死ぬまで変わることはなく決して消え去ることはない。

そしてエマに対する僕の愛もね・・・。


おしまい。










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飛ばされた異世界でボブゴブリンから貰った缶詰、食べ物かと思ったら出てきたのはフィギュアみたいな妖精だったし。 猫の尻尾 @amanotenshi

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