主人公は二人で、どちらも社員寮に住む新入社員の、リコとコトネさん。
リコの住む部屋は、100%怪奇現象に遭う『曰く付き』の部屋だった。
例に漏れず、リコは、『見て』しまう。
次の朝、同期のコトネにしばらく部屋に泊めてくれないか相談するも、
コトネからの返答は斜め上をいくものだった。
山本倫木先生といえば、新作の落語を書いたり、バックボーンが懇切丁寧に描かれていたりと、本格派な作家先生という印象があるのですが、
そうですなあこれを、お題だのなんだの知らない状態で読んだら、
変なところで 『■■■』を強調するなあ……とか、突然それ出てくる!? と、驚くやもしれませぬ。
いずれにしても、オチまで作り込まれたこの丁寧な作品を読まない手はない。
ご一読を!
主人公のコトミさんのマイペースさがもう、たまらなく良いです。
科学者であるため、何がなんでも超常的なものを信じない。そんなコトミさんが「謎の金縛り現象」に挑むことになります。
女子寮で眠っていると青白い手が出てきて金縛りに遭ってしまう。その被害者であるリコから相談を受け、コトミさんが事態と関わることに。
他の人とは違って「何か理解できないことが起こっているのか」などと不安を抱くことがないため、金縛りなどにも全く動じないコトミさん。
そんな中で「真相なのか」と思われる答えを発見。
豪胆を通り越して天然なノリで、いつの間にか事態を解決。そういうノリを見ていると自然と頬が緩んできます。
その上で、発見した「正体」と絡め、大熊事実(おおくま・ことみ)の名前も綺麗に回収されていくところがとても巧かったです。
コトミさんにかかれば、超常現象などが起こっても、「猫かわいい」と目の前の事実のみに集約していってしまう。そんなほんわかしたやり取りがとても微笑ましく、読んでいて幸せな気持ちになる作品でした。