【KAC20255】祭りの終わりに唐揚げ美味しい

花沫雪月🌸❄🌒

祭りの終わりに唐揚げ美味しい

ヒナマツリ。

遥かの古より連面と受け継がれてきた儀礼は形を変えつつあった。

もう元の形なんて誰も覚えていない。

マツリなんて騒げればいいのだ。

というわけで、マイクをとるのは毎度お馴染み、九官鳥の九ちゃんだ。


「またしてもやって参りました前々回覇者! 朱雀門から登場するのは名前にも鳥が入っているあの県からの刺客! オオトリを飾るのは私しかいない! 大山どり選手!! なお前回は県代表を後輩のピヨ選手に譲りましたがピヨ選手は予選敗退となっております」


「ディフェンディングチャンピオンとなるか! 昨年より鶏なら誰でも参加可能にレギュレーションが変更され堂々参戦! 高知の闘鶏! でかーい! でかすぎる!」


「さぁ今年の天下無双トリの降臨バトルもいよいよ決勝……“耐久濃厚タレ立ち泳ぎ”、“スパイス粉塵爆破デスロード”、“4℃のステージでダンスダンスレボリューション” 3つの下拵え……もとい難関競技を乗り越え勝ち残ったのはこの二羽……挑みますは最終ステージ! 決勝の舞台は……でたー! 煮えたぎる油に囲まれた土俵! いまもあちこちには熱い飛沫を飛び散らせているのは決戦の舞台! そう! 決戦は“フライヤー相撲”でございます!  ルールは簡単! 相手を先に揚げ物にした方が勝者になります!」


「さぁ両者! 今土俵入りです! え? は? な、なんという……! なんということでしょう! 闘鶏選手……土俵入り寸前、足を滑らせて油に転落! あー! 揚がっております! 揚がっております! なんという結末! なんという終幕! だが先に揚げ物になったのは闘鶏選手ということは……! 優勝は大山鶏選手です! あぁ! ここでなんと! ヒノトリの降臨です! みまごうことなき美しきクソ鳥が降臨し、カラカラに揚がった闘鶏選手を“あなたの来世は唐揚げよあ今もかしらホホホホホ”と煽り倒しております!」


「では皆様! お名残惜しいですが今年の祭りはここまででございます! 明日はむしり立て羽毛布団即売会と地鶏唐揚げ食べ比べの予定です。会場は間もなく油に沈みます。飛べない敗者観客地鶏の皆様、私はお先に失礼いたします。ではアデュー!」


油に沈んでいく会場から九ちゃんが飛び立つと辺りは香ばしい薫りに包まれたのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

【KAC20255】祭りの終わりに唐揚げ美味しい 花沫雪月🌸❄🌒 @Yutuki4324

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ