派手な打ち上げ花火だけが、アイドルの資質なんじゃない

 「アイドル」というものに関して、優しい目線を感じさせられる作品でした。

 香織はかつてアイドルグループに所属していたが、今は引退した身。
 そして無気力なまま、現在の活躍しているメンバーの姿をテレビで見るばかりの日々を送る。

 自分には何もない。他の引退したメンバーもそれぞれの才覚を生かし、何かの新しい道を目指そうとしている。

 そんな劣等感に苛まれる日々を送っていたが、ある時に彼女の前に「一人の人物」が現れて……。

 「アイドル」というと、成功するか否か、華やかであるか否か、という点で判断される印象が強くあります。
 そして、「引退した後は、それからの人生は寂しいもの」と思われそうな部分も。

 勝ち負けがどうしても存在してしまって、勝者となった存在にある「才」というものにばかり目が向いてしまうことも。

 でも、彼女は気づかされます。打ち上げ花火のような派手な才能の持ち主がもてはやされるけれど、自分にもやはり、別の良さが存在していたのだと。

 「アイドル」というものによって傷つけられた彼女の心。でも同じく、「アイドル」というものによって救われることにも。

 人生そのものを肯定的に見せてくれ、あたたかくて前向きな気持ちにさせてくれる作品です。アイドルだけでなく、人生全般に言えることだと思うので、万人に読んで欲しいと思います。

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