炊飯器

夏空 花火

第1話

「本日、ご紹介いたしますのは、こちらの炊飯器でございます。なんと!この炊飯器、先週発売されたばかりの商品です。その名も『天下無双』!!今までの炊飯器よりも圧倒的に美味しいご飯が炊けるのです」


「えっ!?そんなこと言ったって信じられないって?まあ、まあ、そうでしょう!そう言われると思いまして、ご用意しております。こちら、この炊飯器で炊いたご飯です。どうぞ、お召し上がりください」


「どうです?どうです?まず、ご飯の輝きが違うでしょ!?一粒一粒がちゃんと立っていて、美味しそうじゃありませんか?」


「そちらのお客様、どうですか?いつもご家庭で食べているご飯よりも甘くないですか?……ええ、ええ。そうですよね。そのご飯の本来の甘えさを最大限に引き出すのが、この炊飯器の最大の特徴です」


「まず、こちらをご覧ください。この炊飯器は独自の技術によって、炊飯中の釜の中に独特な水流を生み出します。この水流に乗って、お米が動き回ることでお米が美味しくなるのです」


「そうですね、確かに。釜の中で、お米たちが、ダンスを踊っているみたいですね」


「さらに、この炊飯器の売りはご飯のおいしさだけではありません!!次は、その便利さを、ご紹介いたします。お客様の中には、前日の夜にお米とお水を炊飯器にセットしてから寝る、と言う方はいらっしゃいませんか?……ああ、やっぱり結構いらっしゃいますね。そう言う方には、こちらの機能が便利かもしれません。この機能は、スマホから炊飯器のスイッチを入れられるのです。え?炊飯器にタイマー機能があるから、いらないですって?でも、想像してみてください。休日にいつもより遅く起きなんてよくあるじゃないですか?そこで、この機能です。布団の中から、スマホで炊飯器のスイッチをオン。あとは、布団の中でぬくぬくしていれば、炊き立てのご飯が食べられます。はたまた、外出先から、同じくスイッチオン。帰宅後に炊き立てのご飯がお出迎え。最高じゃないですか?」


「さて、そろそろ気になってくるのが、お値段!!この炊飯器、メーカーとの粘り強い交渉によって、特別価格ーー」


ここで俺は、スマホを取ってテレビに映る番号に掛けようとするが、妻に似た機能の炊飯器がもうあるからと止められた。

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炊飯器 夏空 花火 @natsuzora-hanabi

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