ホワイトパレット
もんじゃ
第1話
「ねぇ、なんで人がペットを飼うか、分かる?」
美波が窓の外を見つめながら言った。
僕は、「なんで急に」と思ったが、
「かわいいから?」と答えてみせた。
大分ふつうに笑えていたと思う。
すると、美波は「それもあるかも」とつぶやいた後に、神妙な面持ちで答えた。
「人はね、『うんうんそうだね』ってすべてを肯定してくれる存在が欲しいのよ。ペットってほら、言葉を話せないじゃない?どんなことを言っても、人と違って衝突することはないし、ずっと隣にいてくれる。」
一息ついた後に、僕からそっぽむいて言葉を続けた。
「でも本当はね。本当につらいときはね、人に寄り添ってほしいな、私はね。うんうんって聞いてくれなくてもいい。責められたっていい。ただそこに、自分を認識してくれる『あなた』が居てさえくれればいいの。」
夕暮れどきの部屋には、光に照らされて赤く染まった百合と、一定のリズムを刻む無機質な音だけが響き渡っていた。
ホワイトパレット もんじゃ @home_san
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