KAC20254 夢か現か幻か?

久遠 れんり

 謎の夢

「あの夢を見たのは、これで9回目だった。」


 なんだよ、またかよ……

 夢見が悪く、頭痛までする。


 横で寝ている絃葉いとはも、気のせいかうなされている。

「おい、絃葉。朝だぞ」

 彼女の肩を揺する。


「ふえっ、今何時?」

「六時半」

「あっ、起きなきゃ」

 そう言ったが、彼女は半身を起こしたまま、ぼーっとしている。


「どうした? 体調が悪いのか?」

「えっ、あっうん。ちょっと夢見が悪くて」

 少し辛そうだが…… 彼女の額に手を当ててみるが、熱はないようだ……


「お前もか、実は俺もそうなんだが……」

 半身を起こしているから…… うーむ。


「えっちょっと、なんで胸を揉むの?」

「いや、なんとなく。そこに胸が在れば、男は揉みたくなるんだよ」

「登山家が山に登るみたいな事を言わないで。っうん。こらぁ」


 そうしてなぜか、二人とも遅刻寸前で走っていく羽目になった。



 そして、教室へ行くと妙にザワついている。

 今日だけではなく、この数日はずっとだ。


「おはぁ」

「おーす。相変わらず不景気な面だな」

「悪かったな」

 こいつは悪友、井上 晃平いのうえ こうへい

 大学へ入ってからの友人だ。


「そういうお前も、顔色が悪いぞ」

「そうか? 最近調子が悪くてな、夜しか寝られないんだ」

「そりゃ大変だな」

「ああ」


 そんな馬鹿なことを言いながら、授業は真面目に受ける。

 授業は、「天の川銀河とこと座銀河の衝突における重力場、アンドロメダ銀河衝突時にどのような脅威となるのか? その時人類は何をしているか?」などという訳の分からない物。


 実際の授業内容は、重力干渉のアルゴリズム組み立てと計算方法。そう、科目は総合物理学。


 ちなみに、天の川銀河とこと座銀河の衝突は、今起こっている最中。アンドロメダ銀河衝突は、四十億年後と言われており、地球の滅亡は五十億年後らしい。それも太陽の寿命で膨張するから、地球は飲み込まれて、焼き尽くされるとか……


 そして、絃葉は経済学部、ここには居ない。


「最近夢が変でさ」

 聞いていないのに晃平が、喋り始める。

「そうか俺もだ、奇遇だな」

 当然顔は、黒板を見ている。


「俺だけかと思っていたけど、ネット上じゃ皆が同じ夢を見ているらしくて大騒ぎだぞ」

「へー」

「ほら」

 無視って、適当に流して答えていたら、目の前にスマホの画面が出てきた。


「あれ? 俺もこれを見るぞ。ほぼ毎日」

「そうなのか? 俺もなんだ。俺達やっぱり、運命の出逢いなんだな。付き合うか?」

「やめてくれ、俺はそっちのけは無い。彼女もいるし」

「そうか、残念だ」

 こいつも彼女がいたはずだが?


「彼女がいたよな」

「いるよ。ラブラブだし、今朝もつい手を出して叱られた」

「俺もだ」

「やっぱり運命」

「やめろ」


 そんな馬鹿なことを言いながら、ネットの話が気になって調べてみた。


 どうやら、始まりは一年ほど前。

 徐々に見る人間が増えてきて、今大騒ぎのようだ。

共時性きょうじせいかな?」

 これは、因果関係のない2つの事象が、偶然とは思えない形で同時に起きること。こいつと俺が、朝一にムラッときてエッチしたとかが、当てはまると言えばいえる。


「同調連鎖とか?」

 これは同調現象ともいい、誰かが与えた切っ掛けに集団が引きずられる現象とかを言うから、少し違う。


「それなら、先に情報が必要だろう」

「そうか、ならシンクロニシティか……」

「なぜ英語で言い直した。共時性でいいだろ」

「なんとなく」


 そんな馬鹿なことを言いながら、帰ってから絃葉にもネットの話題を言ってみる。


「えっそんな。私も同じ。なんで?」

「さあ? 人類滅亡の啓示とか色々言われているな。発生は二千二十四年の春頃だ」

「えー怖い」


 彼女と同じで、俺も恐怖を感じる。

 一体何が起こっているのか判らない。


 世界中の人間が同じ夢を見る。

 現象としては、ただそれだけ……


「しかし、全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れなんて…… 一年前に何があったんだ?」

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KAC20254 夢か現か幻か? 久遠 れんり @recmiya

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