あの夢を思い出せ
三国洋田
1年前の……
あの夢を見たのは、これで9回目だった。
いや、本当にそうだったか?
実は10回目じゃなかったか?
いや、本当にそうなのだろうか?
実は11回目なのではなかろうか?
いや、本当にそうだったっけ?
確か8回目じゃなかったか?
いや、なんかいきなり9回目で合ってるような気がしてきたぞ!!
うん、やっぱりあの夢を見たのは、これで9回目だ!!
いや、待てよ!?
やっぱり違うような気もしてきたぞ!!
5~334回目のどれかだったような気がしてきたぞ!!
どれなんだ!?
いや、待て!
それも違うような気がしてきたぞ!
確か2~810回目のどれかだった気がするぞ!!
どれなんだ!?
どれが正解なんだ、俺!?
ぐあああああああああああああああああああああっ!!!!!
よく分からなくなってきたぞ!!
うわああああああああああああああああああああっ!!!!!
「ちょっと、なんで頭を抱えてんのよ? もしかして、具合が悪いの?」
「あの夢を見たのは、これで9回目だったのか!?」
「はぁっ!? いきなり何言ってんのよ!?」
「あの夢を見たのは、これで9回目だったのかと聞いているんだ!?」
「何言ってるの!? あの夢って、何よ!?」
「あの夢? あの夢は…… え~と…… なんだっけ!?」
「私が知るわけないでしょ!!」
「ぎゃああああああああああああっ!! 思い出せないぞ!!」
「要するに、夢の内容と、それを見た回数が思い出せないのね?」
「その通りだ! どうしたらいいんだ!?」
「そんなの気にしても仕方ないでしょ。さっさと忘れた方がいいと思うわよ」
「それができないから、苦しんでいるんだろうが!! 何か、何か思い出す方法はないか!? はっ、そうだ! 逆立ちをしよう!!」
「なんでよ!?」
「逆さにしたら出て来るかもしれないだろ!!」
「そんなわけないでしょ! マヨネーズやケチャップじゃないんだから!!」
「じゃあ、どうすればいいんだよ!?」
「とりあえず、スマホで調べてみたら?」
「な、なんだと!? 名案すぎる!! うわああああああああああああああああああああああっ!!!!!」
「なんで叫ぶのよ!?」
「あまりの名案っぷりに、つい叫んでしまったぞ」
「そうなの。それじゃあ、調べなさいよ」
「ああ、そうしよう」
「こ、これは!?」
「いい方法があったの?」
「ああ! 忘れたものを思い出すには、思い出の場所や物などを思い返すのがいいらしいぞ!!」
「へぇ、そうなの」
「よし、さっそくやってみよう!」
「何をするの?」
「決まってんだろ! ベッドを思い返すんだよ!!」
「そんなのでうまくいくのかしらね?」
「ダメだ! 思い出せない!! こうなったら、奥の手を使うしかない!!」
「奥の手? 何よ、それ?」
「もちろん、家に帰って、ベッドで寝るんだよ!!」
「ええ……」
「では、さらばだ!!」
「はいはい、思い出したら教えてね」
次の日。
「やった、やったぞぉっ!! 成功したぞぉぉぉっ!!!」
「それは良かったわね。それで、なんだったの?」
「爪の周辺の皮が乾燥してめくれ上がってしまうことがあるだろ?」
「ええ、あるわね」
「あれを『ささくれと呼ぶ派』と『さかむけと呼ぶ派』がいたんだ。そして、そいつらは呼び名を統一するために戦っていたんだ。もちろん、武力でだぞ」
「ものすごくくだらない戦いね」
「そこに『両方使う派』と『どっちでもいい派』と『どうでもいい派』と『ささくれさかむけと呼びたい派』と『さささかくれむけと呼びたい派』と『さかささむけくれと呼びたい派』と『新しい呼び名がいい派』と『細かいことは気にするなよ派』と『そんなことよりうどんを食べて寝たい派』と『そんなことよりそばを食べて寝たい派』と『そんなことよりラーメンを食べて寝たい派』と『そんなことよりスパゲッティを食べて寝たい派』と『その他諸々派』が参戦したんだ」
「派閥ありすぎでしょ!? 全然関係ないのもあるし!」
「戦いは日に日に大きくなっていって、地球が真ん中から半分に割れそうになったんだ」
「なんでそんなことになるのよ!?」
「そのくらい激しい戦いだったからに決まってんだろ!」
「だからって、半分に割れたりはしないでしょ!」
「いいや、するんだよ!」
「ああ、もうどうでもいいわよ! 続けてちょうだい!!」
「このままではマズいから、戦い方を変えることにしたんだ」
「戦いをやめようとはしなかったのね」
「ああ、そこは譲れないからな」
「そうなの。それで、何をすることになったの?」
「『超スーパーグレイト爪の周辺の皮が乾燥してめくれ上がっている状態の名前決めファイト・スペシャル・エクセレント』だ!!」
「なんなのよ、それは!?」
「くじ引きだな」
「ただのくじ引きなの!?」
「その結果『ニョッピー・セパシオ・ナイン』と呼ぶことになったんだ」
「なんでよ!?」
「新しい呼び名がいい派が勝ったからだな」
「その派閥、ネーミングセンスは微妙なのね!」
「その後、1年くらい平和だったんだけど、また同じ理由で戦いが始まったんだ」
「まだ続くの!?」
「ああ、やはり諦めきれなかったのだろうな」
「いや、そうじゃなくて、夢が長すぎるって意味よ。まあ、いいわ。続けてちょうだい」
「分かった。そして、また戦いが激しくなっていって、とうとう地球は真っ二つに割れてしまったんだ。その直後、なぜか地球がくっ付いて爆発して、3秒で再生して、人間のいない緑あふれる豊かな星になったんだ」
「急展開すぎでしょ!?」
「そこで目が覚めたんだ」
「そうなの。変な夢ね」
「ところで、それを何回見たの?」
「114回だ」
「多すぎでしょ!? 災難だったわね!」
「そうか?」
「そうよ!」
「爪の周辺の皮が乾燥してめくれ上がっている状態は『ささくれ』である!!」
「そうだ! 決して『さかむけ』ではないぞ!!」
「いいや、違うぞ! それは『さかむけ』だ!!」
「その通りだ! 絶対に『ささくれ』ではないぞ!!」
「ん? なんだ、あいつら? くだらない言い争いをしているなぁ」
「そうね……」
「やんのか、さかむけ派!?」
「いいだろう! 勝負だ、ささくれ派!!」
「「いくぜっ!!!」」
両派閥が激突した。
そして、なんやかんやあって地球は爆発した。
めでたくなしめでたくなし。
おしまい。
あの夢を思い出せ 三国洋田 @mikuni_youta
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます