【KAC20253】Fecordare(レコルダーレ)

めいき~

思い出して

 紅い蛇が居ました。蛇は黄色い眼をして、己の尻尾を追いかけました。


 自分の尻尾が気になって仕方がない、蛇は暴れます。尻尾も暴れます。


 いつしか果てて、蛇の骸からは白い薔薇が咲きました。



 魔笛の様な歌声が、妖精の様な歌声が。今日も薄暗い森に響く。


 黒い羽が伸びていき、白い羽を染め上げる。


 右の片翼をはためかせ、まるでバレエのトゥシューズの中の足の様。


 妖精の後光が季節を奏で、彼女の影に蛇を見る。幾重にも編まれた金糸に燃える炎を現して。今日も茨に抱かれる。


 鳥の歌が妖精達の歌に聞こえたなら、星の結びをステージにして。

 光さえ、カーテンにして。


 時間を止めてよと願い、無常に流れていく。


 無数に咲く、紫陽花が雨上がりを祝福し。


 膝を閉じて、切り株に座り。何かが転がって、木琴の様な音がした。

 栗色の服の彼女を、歌に誘い。また、夏がくるとやってくる。



 月光、満ち欠けて。奈落の底から響く様。

 深淵の森から、吹き抜け。


 蛇が来ぬよう、樹に巻き付けて。

 梟が、樹に座る少女の様にこちらを向いて首を傾げ。


 映し出された花々が、妖精の歌声とステージに上がるアイドルを照らす。


 草木が揺れ、雨がドラムの様に叩く。台本も楽譜もなく、アナタだけにと耳を澄ませば。道しるべもなく、タクトもなく。


 御伽噺に迷い込んだように、観客さえも音に変え。


 光モノクロに宵闇、髪と共に流れ。森のホールを舞い。


 吐息と共に、一夜を数え。愛しさに震え。

 

 妖精達は踊り舞い、狂おしく。


 雲が燃え、土の香りがコロンとなって。



 今は、一夜。刻さえ音に変え。


 霧と共に揺らめいて、まよいまどい恋願う。


 色彩、全て赤。命咲く、皆アイドル。


 いつか、渡っていく時に思い出してこの森を。


 その、曲の名はレコルダーレ……。

 

 

<おしまい>

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

【KAC20253】Fecordare(レコルダーレ) めいき~ @meikjy

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ