## パート7:友情と恋の芽生え

**レイの視点**


学院生活も一ヶ月が過ぎた。僕たちはすっかり日常に馴染み、クラスでも存在感を示すようになっていた。


特に僕は、ダークとの対決以来、「次世代の虚無使い」と呼ばれるようになった。少し恥ずかしいけど、悪い気はしない。


「レイくん、おはよう!」


教室に入ると、ソフィアが明るい笑顔で迎えてくれた。金色の髪が朝日に輝いている。


「おはよう、ソフィア」


「今日の魔法実践、楽しみだね!」彼女は目を輝かせた。


今日は対戦形式の実践授業。相手と一対一で魔法を競い合う。


「レイ」


振り返ると、ダークが立っていた。最近は敵対心も薄れ、時々話すようになっていた。


「今日は手加減するなよ」彼はニヤリと笑った。


「君こそ」僕も笑い返した。


実践授業が始まり、対戦相手が発表された。僕はソフィアと、フレイムはダークと、ルナは別のクラスメイトと、スカイも同様に組み合わされた。


「レイくんと対戦...」ソフィアは少し緊張した様子だ。


「楽しもう」僕は彼女を励ました。


訓練場に出ると、クラスメイトたちが見守る中、僕とソフィアが向かい合った。


「始め!」教師の合図で対戦開始。


ソフィアは素早く動き、手から光の矢を放った。「ライトアロー!」


僕は軽く身をかわし、小さな氷の盾で防御。「なかなかやるね」


「まだまだよ!」彼女は次々と光魔法を繰り出してくる。


僕は最小限の力で応戦。父さんの教えで、必要以上の力は使わないようにしている。氷結魔法だけで相手の攻撃を受け流す。


「どうして本気を出してくれないの?」ソフィアが少し不満そうに言った。


「ごめん」僕は申し訳なさそうに微笑んだ。


「私、レイくんの本当の力が見たいの!」彼女は真剣な表情で言った。


その言葉に、僕は少し心を動かされた。「わかった。少しだけね」


僕は左手から漆黒の光を放った。虚無の律動の入門レベルだけど、十分に驚かせるには足りる。


「すごい...」ソフィアの目が輝いた。


光は彼女の周りを包み込み、動きを制限する。彼女は抵抗しようとしたが、すぐに諦めた。


「降参します」彼女は微笑んだ。


「勝者、レイ・灰崎!」教師が宣言した。


対戦後、ソフィアは興奮した様子で僕に駆け寄ってきた。


「あの光、本当に素敵だったわ!」彼女の目が輝いている。「レイくんってやっぱりすごいね!」


「そんなことないよ」僕は照れた。「君も光魔法、上手だったよ」


「えへへ」彼女は嬉しそうに笑った。「でも、もっと強くなりたい!レイくん、今度教えてくれない?」


「いいよ」僕は頷いた。


他の対戦も終わり、フレイムはダークに僅差で負けていた。


「悔しい〜」フレイムが頬を膨らませている。


「次は勝つよ」僕は妹を慰めた。


放課後、僕たち四人と、ソフィア、そしてダークも加わって、中庭で一緒に過ごすことになった。


「ねえレイくん」ソフィアが隣に座った。「お父さんのこと、教えてくれない?」


「父さん?」


「うん!灰崎零様のこと!」彼女は目を輝かせた。「伝説の魔法使いで、五人もの美しい奥様がいて...すごく憧れるの!」


「まあ...」僕は少し考えた。「父さんは強いよ。でも何より優しい人だ。誰に対しても公平で、力を乱用することもない」


「五人のお母さんたちとはどうやって出会ったの?」彼女は興味津々だ。


「それは学生時代の話だね」僕は笑った。「父さんは最初『落第魔法使い』と呼ばれていたんだ。魔力がないと思われていたから」


「えっ!?」ソフィアは驚いた。「あの灰崎零様が?」


「うん。でも実は禁断魔法『虚無の律動』の使い手だった。それが明らかになると、状況は一変したんだ」


「そして五人のお母さんたちと恋に落ちたのね!」ソフィアの目がハートマークになりそうだ。


「まあ、そんな感じかな」僕は照れた。


「私も...素敵な人と出会いたいな」彼女はそっと呟いた。


「きっと出会えるよ」僕は微笑んだ。


「もう出会ってるかも...」彼女は小さな声で言った。


「え?」


「なんでもない!」彼女は慌てて話題を変えた。


その日の夕方、帰り道でソフィアが僕に声をかけてきた。


「レイくん、ちょっといい?」


「どうしたの?」


彼女は周りを見回し、人気のない場所に僕を連れて行った。


「実は...」彼女は顔を赤らめた。「レイくんのこと、好きになっちゃった」


「え?」僕は驚いて声が出なかった。


「お父さんみたいにカッコよくて、優しくて...」彼女は恥ずかしそうに目を伏せた。


「ソフィア...」僕は何と答えていいかわからなかった。


「返事はいらないよ!」彼女は急いで言った。「ただ、気持ちを伝えたくて...」


僕の心は混乱していた。初めての告白だ。父さんだったら、こんな時どうするだろう?


「ありがとう、ソフィア」僕は静かに言った。「嬉しいよ。でも、今はまだ...」


「わかってる」彼女は微笑んだ。「焦らないで、ゆっくり考えてね」


彼女は軽く手を振り、走り去っていった。


家に帰ると、リリアお母さんが僕の様子に気づいた。


「どうしたの?顔が赤いわよ」


「べ、別に...」


「もしかして...」彼女はニヤリと笑った。「女の子から告白された?」


「え!?どうして...」


「当たり!」リリアお母さんは嬉しそうに叫んだ。「やっぱりソフィアちゃんでしょ?」


「う...」


「リリア、レイを困らせないで」エリザベートお母さんが助け舟を出してくれた。


「でも、零に似て女の子にモテるなんて素敵じゃない」リリアお母さんはまだ諦めない。


「もう...」僕は恥ずかしさで顔を覆った。


その夜、父さんが僕の部屋を訪ねてきた。


「聞いたよ、初めての告白だって」


「父さん...」僕は恥ずかしさと困惑で言葉に詰まった。


「心配することはない」父さんは優しく微笑んだ。「自分の気持ちに正直であることが大切だ」


「でも、どうすればいいのか...」


「時間をかけて考えるといい」父さんはアドバイスしてくれた。「そして、どんな選択をしても、相手を傷つけないように心がけることだ」


「父さんは...どうだったの?」僕は勇気を出して聞いた。


父さんは少し考え、そして笑った。「私の場合は複雑だったよ。最初はエリザベートお母さんと出会い、そして次々と...」


「五人全員を愛するようになったんだね」


「そう」父さんは頷いた。「それぞれが特別で、一人も選べなかった。だから全員を選んだ」


「すごいね」僕は感嘆した。「父さんは本当に強いんだ」


「強さだけじゃない」父さんは真剣な表情になった。「責任と誠実さが大切だ。誰かを愛するなら、最後まで守り抜く覚悟が必要だよ」


父さんの言葉が胸に響いた。


「ありがとう、父さん」


「いつでも相談に乗るよ」父さんは僕の頭を撫でた。


翌日、学院では新たな試練が待っていた。

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落第魔法使いとバカにされた俺、実は禁断魔法の使い手で無双確定!見下した学園の美少女エリートたちが次々ハーレム入りする件について 人とAI [AI本文利用(99%)] @hitotoai

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