星の氾濫

黒澤ペンギン

星の氾濫



ねむれないよるは星座をつくる

ひとつずつ折り紙を指で折りこむように

まっさらな空に定規をあて

残酷でもいいから疵やすじを残してく


ねむれないよるは星座をつくる

ひとつずつ有り得ない生きものの夢を見る

点線が呼び出すおどろきの新星

形を写すことはいのちを奪うことだろうか


ねむれないよるは星座をつくる

父親に似た沈黙のひつじが

ひとつずつ柵の呼び名を無限に数えてく

喩えの数だけわたしは太る


ねむれないよるは星座をつくる

知らないだれかに捕食されながら私は

星の氾濫をゆくりなく耐える

ひとつずつ折りこまれる折り紙のように



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