第4話 パパの秘密ごと

 僕は、2年前からの開発したプロジェクトで忙しかった。

 香菜のことも妻のことも気になっていたが、つい忙しさのあまりに邪険に接していたようだ。


 そして、いよいよその製品が完成した。キャンディー型の髪留めの製品は、ベルと名付けられた。髪留めから、発する電波で直接脳を刺激して幻覚を見せる。ベルは、妖精の姿をしていた。そして、その脳が持つ能力を最大限に引き出せるように作られたものだ。ベルは、まだ、試作品の段階で小動物以外は試してはいなかった。


「社長、この商品うちの娘で試してみたいんです」

 社長には娘のことは、ちょくちょく話してはいた。


「信二君、まずは知能を持った動物実験からとか始めた方がいいんじゃないか?」流石に、即答はされなかった。

 だが、俺の藁をもすがる思いにほだされたのか許可が下りた。


「奥さんも、このことは賛成してくれているんだよな」


「もちろんですよ。社長」俺は、そう言うしかなかった。

 

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妖精と香菜ちゃん クースケ @kusuk

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