鶏神様の神使になって、ご主人様にご恩返しを!

るるあ

そこに痺れる憧れるぅ!


 私は、ブルー。

 境内の露天で売られたカラーひよこから成鶏までの鶏生を全うしたが、育てて下さったご主人様へ恩返しの為に神使となり、神社で狛犬ならぬ狛鶏となったブルー。


 私が物心のついた時は、薄暗い中でたくさんの兄弟たちに囲まれて、うごめいていたように思う。

 ある日私たちは幾らかの大きなまとまりにされ、何やら息苦しくなる雨を浴びせられた。それに耐えた者だけが生き残り、ただぴいぴいピヨピヨと鳴いて運ばれ、そして。


 あの日、あの鶏神神社境内の露天で、ご主人様に出会えたのだ。


 震える私をそっと掬い上げ、私に「ブルー」という名を与えてくださった。


 それからは幸せな日々だった。

 ご主人様は戦隊ヒーローという正義の味方に憧れておられ、いつかはそうなりたいのだと私に夢を語られた。

 「きみはブルーで、生き別れになっちゃったけど、あのカラフルな兄弟たちで戦隊ヒーローになれるんじゃないかな!じゃあぼくはきみたちをまもる総司令そうしれいかん、ゴールドレンジャーになるよ!」

 キラキラした笑顔でいつも私に話しかけてくれたあの日々は、かけがえのない宝物だ。


 私にとってご主人様は、ご主人様こそがヒーローなのだ。


 神使となり、鳥人——頭は鶏(判り易いように鶏冠は青くしていただいた)体は人の体に黒のタキシード、という出で立ちで、ご主人様のスーパーヒーローという積年の願いを叶えに訪れたが、お断りされてしまった……!?

 恐らく、ご主人様は私が、願いを叶えたら消滅の危機がある事を見破り、心配して下さったに違いない!さすがだ…そしてなんと思慮深い……。

 (※ご主人はそんな事1ミリも知りません)


 ……いや、私は諦めない。

 いつの日かご主人様にご恩を返すのだ!

 私の兄弟たち、レッド・イエロー・ブラック・ピンクと共にチームを組めばきっと、スーパーヒーロー、ゴールドレンジャーへの夢を再び手にして下さるに違いないのだ!!!


 よし!そうと決まれば、私は狛鶏としてこの神社やご主人様の住まう地域の邪気払いに励むなど、徳を積まなくては!

 そして、鶏神様が現世に降り立つ「トリの降臨」の日、毎月28日のチキンの祝祭日に率先してお使いを申し出れば、また鳥人へとクラスアップしていただけるだろう!戦隊モノではヒトガタでアクタースーツを着なくてはいけない!!

 あとは……鶏神様はよく、「人材……鶏材不足〜!おもしろ…従じゅ…使えるの居たら教えて」と仰っていたから、私の兄弟たちとの戦隊チームをご提案してみよう!ご主人様のことも気に入って下さっていたようだし(あの反応は大好物とはどういう意味か解らないが)、きっと大丈夫!!

 

 待っていてくださいご主人様!

 私があなたの内なる希望を、必ずや叶えて差し上げますからねっ!!!!!



 鶏神

 「わーまたあの子が黒歴史で悶えるの観れるじゃーん!えっ?ケン◯のチキン、パシリ係やってくれんの?ヤッターよろしく!

 いやいやさすがブルーくん、執念深くて思い込み激しー!イイわ面白いわー!」


 ご主人様

 「……いやあのね……そんなピュアな瞳で厨二病をほじくってこないで………。

 えっ、兄弟!?それはそれで見ごたえあって正直嬉しいけど俺は参加しないからね絶対本当に頼むよ違うよフリじゃないからってナニコレ金色の全身タイツみたいなのヤダマジかよホント許してくださいお願いします!!!!!」



★★★★★★★★★★★★★★★★★



※拙作「元カラーひよこが私の黒歴史をグイグイ勧めてくる件。」の鳥人視点でした。




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