あとがき

 日常ほのぼの系異世界スローライフファンタジー「異世界の麦と水」のご愛読ありがとうございます。本作はこれにて完結と致します。


 まだまだ書こうと思えば続けられましたがダラダラ展開になりそうなのでやめました。


 勇者アレンはどうなったのか気になる方もいらっしゃるのではと思います。多分どこかで大きな魔物か悪い組織と戦っています。主人公とは時々すれ違ったかもしれません。聖女、剣聖、聖騎士とは男女の仲にはなっていると思います。アレンは基本的に善人で前向きな性格のイケメン好青年です。人を惹きつける魅力も持っています。ザマァ系に良くある傲慢で卑怯で臆病な勇者(勇者の定義間違ってません?)ではありません。


 この話を書こうと思ったのは、異世界ものなのに、地球の生きものが出てくる話が多いなと思ったからです。


 例えば馬車です、あれを文字に書くときに馬車以外に表現するのは面倒です。走鳥のような生きものが引いていた場合、走鳥車と書くのが正しいのでしょうが走鳥が引く馬車と書いた方が頭でイメージしやすいです。


 他にも林檎と桃の中間ぽい果物を考えたりとか、兎に牙や角をつけて登場させたりとか、そういう作品を見かけます。異世界だから林檎や兎を出せなくて頑張ったのだと思います。


 地球を舞台としたファンタジーはそういう表現をしなくて良いので楽だなと思います。地名もわざわざ考えなくても良いですしね。


 完全なる異世界を考えても読者に伝えるのは難しいなと思います。どうしても地球にある生きものが出てきてしまいます。多くの異世界ファンタジーの主人公である人間も地球の生きものですしね。


 それならいっそ地球にある日本ではない遠い他国、例えば北欧辺りで暮らす話を書けば異世界ファンタジーになるかなと思いプロットを練り始めました。


 異世界ファンタジー世界で多くの方が大好きな15世紀ぐらいの北欧風異世界を舞台にしました。剣と魔法が無ければ地球の過去にあったかもと言って貰えるようにです。

 魔物と書かれていましたが、主人公が目撃した魔物は山の上の点である竜だけです。

 そんな感じに剣と魔法の世界なのに、その要素をあまり見えないようにしました。ほぼ地球なのに、勇者、聖女、剣聖、聖騎士、賢者がいて、主人公と関係ない場所でファンタジーをやってるから異世界ファンタジーと言い張る感じです。


 主人公に勇者の事を伝える役として登場した賢者のマールですが。マールは元々は剣聖の予定でした、フィンブル辺境伯のフィンブルというのは、戦国時代の日本の剣聖、塚原卜伝の鹿島新當流の新當流が訛ったもので、マールはその子孫だから剣聖になったという筋書きがありました「カッシーマ・フィンブル」という感じに言葉が伝わってる感じです。

 主人公がフィンブル辺境伯に面会した際にフィンブル辺境伯家に伝わる鹿島という言葉の由来を知っている事で、主人公もフィンブル辺境伯の先祖と同じ転生者だと証明されるという話の予定がありました。


 ただ先の展開で、勇者アレンに追従する聖女、剣聖、聖騎士のビッチ描写を入れる予定があり「聖女と剣聖と聖騎士じゃなく性女と剣性と性騎士かよ」揶揄するシーンを考えたため、主人公と仲良くなるマールを賢者に変える事にしました。マールの言葉遣いが男っぽい所や見た目が美青年に見えるという部分に剣聖設定だった頃の名残があったりします。また剣聖の名前がフリーRPGの女魔法使いで良く使われる名前なのも賢者だった頃の名残です。結局使わなかったので戻せばと思いましたが、マールは村経営の相棒として賢くいてもらうために維持されました。


 最終章を後日談風の1話で完結させましたが、実は王国南部の海の街ヴェニアで、アレン達一行と再会するというシーンを予定していました。主人公が海が見たいと言って旅行に行き、「頑張ってるぜ」「さすがアレン」的な会話をし、世間の厳しさを知って丸くなった聖女、剣聖、聖騎士と和解する……、という感じです。

 ほのぼの系なので血を見るのは無しにしました。実はアレンが学問を卒業しリーリアを連れて行こうとして血を見るというシーンも書いたのですが、ちょっと世界に合わないかなと思ったのです。


 麦と水がテーマではありますが、本当のメインは発酵です。ただそれをタイトルにするとネタバレ過ぎるので麦と水にしました。タグにはいれていますけどね。

 ただ僕は酒造会社のエンジニアであった事はなく、発酵についても専門家ではありません。オートベーカリーでパンを焼くぐらいです。密造酒を作った経験もありません。ただ、外国の方がエールタイプのビールをドラム缶で作り飲んでいる現場を見た事があります。

 当時未成年で知識がなく、外国の方は変わった飲み物を作るんだという程度の認識でしたが密造酒作りをしていた事を後で知りました。仲間内で楽しんでいるだけなので見つからなかったんでしょうね。


 松の葉と砂糖水を使って低アルコール炭酸ソーダを作るネット動画を最近見ました。砂糖の量を増やし過ぎると発酵が進んでアルコール濃度が1パーセントを越えて立派な密造酒になるそうです。

 蜂蜜レモン水を自作して放置していたらお酒になっていたという話を聞いた事があります。ミードみたいになったんですかね。

 逆にワインを放置していたらビネガーになっていたという話も聞いた事があります。アルコールを分解して酢酸を作る酢酸菌の作用でそうなったようです。


 最終章で、ワイン樽から取れる酒石と重曹を混ぜてパンを膨らます(ベーコンパウダーの原理です)という話も書いていました。ただ最終章を後日談的な話にする過程で削除しました。


 この作品の世界は本当に誰かが創作した世界だったのかですが、創作だったに決まっています。だって僕が想像して書いているのですから。


 アレンは元々の創作物の主人公だったのかという話ですが、いかようにも取れます。アレン視点で書けばアレンが主人公になりますからね。

 実際に各章の終わりにアレン視点の話を書いて投稿予定でした。ただ第1章のアレン視点は子供っぽい思考パターンの回想が上手く書けず10歳児以上になってしまったので削除しアレン視点を書く事をやめました。


 主人公が転生者じゃ無かった場合のアレンの物語ですが、アレンは王都に行くまでの流れは同じです。ただケントが好きなのはミーシャではなくリーリアです。ミーシャはケントの恋を応援します。アレンに連絡取れず落ち込むリーリアを慰めるケントはミーシャの助けもあって立ち直らせます。リーリアはケントの思いを受けて結婚します。


 ケントはミーシャとパン屋の修行をしてリーリアが売り子をします。

 そんなところにアレンが王都から帰って来ます。そして現状を知って幼馴染達が裏切ったと激昂しケントを切ろうとして庇ったリーリアを殺してしまいます。

 アレンは逃走した先で、リーリアの手紙を中継し続ていたマリアから、リーリアの手紙を止めていたのは聖女、剣聖、聖騎士の仕業だと教えられます。


 アレンは聖女、剣聖、聖騎士に対して復讐しようとしますがリーリアを殺された復讐に燃えるケントとそれを助けるミーシャ、アレンの暴走を知って責任を感じるマール、みんな仲良くして欲しいマリアの干渉によって一歩の所で取り逃し続けます。


 というざっくりとした物語だと仮定しました。


 実際のアレンは本作にとってのモブなので、そこまで詳しくまでは練っていません。

 あくまで主人公はケントで日常ほのぼの話をし。アレンはただのファンタジー要素のためのおまけ人材とご理解ください。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

異世界の麦と水 まする555号 @masuru555

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ