この作品は、タイトルの時点である種の“警告”を放ってくる作品です。そして実際に読んでみると、その言葉の意味がじわじわと効いてきます。
物語は、ダンジョン付き物件を購入してしまった主人公の視点から始まります。一見すれば夢のある設定――ですが、実態はほとんど詐欺まがい。ロマンよりも維持費、冒険よりも責任、チートよりも労働。ダンジョン運営は華やかさとは程遠く、ひたすらに重く、きつい仕事として描かれます。
この「夢を見させない」現実味こそが本作の大きな魅力です。
ファンタジーでありながら、事業運営の苦労やリスク管理、人的トラブルといった要素が妙に生々しい。ダンジョンという非日常の舞台を使いながら、やっていることはほとんど中小企業経営。だからこそ、主人公の奮闘には不思議な説得力があります。
一方で、主人公とヒロインとの恋愛要素については、やや浮いて感じられる部分もあります。シビアな労働と責任の物語が骨格として強固なだけに、恋愛描写が少し唐突に差し込まれているように思える場面もあり、物語の主軸との距離感に戸惑う読者もいるかもしれません。
それでも、本作の根幹にあるのは「希望を持つな」と言いながら、それでも踏ん張る人間の姿です。甘い夢を見せない世界観の中で、主人公が現実的に、地道に、逃げずに向き合っていく。その姿勢にこそ、本作ならではの面白さがあると感じました。
ダンジョンものにロマンよりも“運営の苦労”を求める方には、刺さる一作だと思います。
この小説には「原作」があるそうだが、そちらは読んでいない。
自分はゲームをまったくやらないのでダンジョン理解が乏しかった。
が最近立て続けに漫画の『ダンジョン飯』『葬送のフリーレン』『タワーダンジョン』を読んで急速にダンジョン理解が進んだ。
そして本作を読んでさらに迷宮のイメージが明確になった。
本作を読んで得た知識は
①ダンジョン探索はブラック労働である
②ダンジョン探索は金になる
③ダンジョン管理に失敗すると地上に害が及ぶ
④ダンジョン探索は命懸けである
といったところである。
①のダンジョンカンパニーの話(ハンターはみんなフリーランサーで雇用主が圧倒的に強い)は昨今のアニメーターのブラック労働みたいで興味深かった。
ダンジョン探索を「労働」ととらえ、ここまで緻密に労働に伴う苦労を書いた小説は、ほかにあまりないのではないか?
個人的にホームセンターで働く謎の美魔女マリアンヌの存在が気になる。
今から第二章の展開が楽しみです。